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AIニュース8選【7/29】NVIDIAがSSIに8000億円出資ほか

みなづちです。
2026年7月29日時点で押さえておきたいAIニュースを、重要度順に8件まとめました。
今回は、超知能への巨額投資、画像生成をめぐる主導権争い、そして大手が自前のモデルへ切り替える動きが大きなテーマです。
本記事では、以下のポイントから解説します。
- NVIDIAが元OpenAI共同創業者の会社に巨額を投じた理由
- Claudeを使っている人がいますぐ確認すべきこと
- Microsoftが自社の画像生成モデルを出した意味
- 画像生成の会社が、なぜ占星術アプリを買ったのか
なお本日は、7月22日から27日にかけての発表から選んでいます。一次情報で発表日を確認できたものが8件だったため、本数を水増しせず8選としました。
今日のAIニュースは「借りる時代から、自前で持つ時代へ」。まとめ8選の結論

まず結論からお伝えすると、AIを外から借りるのではなく、自分で持つ・使い分ける方向へ各社が動いているのが今週の特徴でした。
象徴的なのがMicrosoftです。同社は自社開発の画像生成モデルと音声モデルを公開しました。これまでOpenAIのモデルに頼っていた領域を、自前の技術で置き換えていく動きです。同じ週、セキュリティ特化のモデルも投入しています。
開発ツールの世界でも同じ流れが起きています。Cursorは作業の内容に応じてモデルを自動で振り分ける仕組みを導入し、コストを3割から6割削減できると発表しました。高価なモデルを常用するのではなく、必要な場面だけに使うという考え方です。
一方で、AIの土台そのものに巨額が動きました。NVIDIAは、元OpenAI共同創業者Ilya Sutskever氏が率いるSafe Superintelligenceに50億ドル(約8,000億円)を投資すると報じられています。
筆者の視点:8本を並べてわかったこと

僕自身、今回のニュースを追う中で気づいたことがあります。
「共有ボタン」の意味を考え直した
いちばん背筋が伸びたのは②です。Claudeで作った共有リンクが、Googleの検索結果に出ていたと報じられました。
出ていた中身が生々しい。暗号資産のウォレットの鍵、APIの認証情報、患者の医療報告書、子どもの名前と電話番号を含む文書、社内の資料。いずれも共有した本人は、検索に出るとは思っていなかったはずです。
考えてみれば「共有リンクを作る」とは「誰でも見られるURLを作る」ということです。URLを知っている人だけが見られると思い込んでいましたが、検索エンジンはURLを見つけてしまいます。当たり前の理屈ですが、意識できていませんでした。
画像生成の勝負どころが「文字」になっていた
もう1つは③です。Microsoftが公開した画像生成モデルで、いちばん強調されていたのが画像の中に正確な文字を描けるという点でした。
これまで画像生成AIの弱点として知られていたのが、まさに文字です。看板やポスターを作らせると、それらしい形の判読できない文字列が並ぶ。実用で使いにくい最大の理由でした。
絵の美しさではなく、文字が読めるかどうかが売りになる。画像生成が「作品を作る道具」から「仕事で使う道具」へ移りつつあることの表れだと感じます。なお現時点で正確に描けるのは英語だけで、日本語は対象外です。
画像の会社が占星術アプリを買っていた
3つ目は④です。Midjourneyが、占星術アプリのCo-Starを買収していたことが明らかになりました。
一見すると脈絡がありません。しかし発表の中身を読むと、狙いははっきりしています。Co-StarのCEOがMidjourneyのデザイン責任者に就任し、消費者向けアプリの開発を率いるという体制です。
Midjourneyはこれまで、画像を作る道具そのものを提供してきました。そこから一般の人が毎日開くアプリへ踏み出そうとしている。月間430万人が使う占星術アプリは、そのための足がかりということになります。
①NVIDIAがIlya Sutskever氏のSSIに50億ドルを投資(7月27日)

今回の最重要ニュースです。
何が起きたか
NVIDIAとSafe Superintelligence Inc.(SSI)は7月27日、長期的な戦略提携を発表しました。SSIは、OpenAIの共同創業者だったIlya Sutskever氏が2024年に設立したAI企業です。
ブルームバーグによると、NVIDIAは同社に50億ドル(約8,000億円)を投資するとされます。ただし両社は公式発表の中で金額を開示していません。この点は押さえておく必要があります。
公式発表で明言されているのは、投資に加えて次世代のVera RubinプラットフォームへのアクセスをSSIに提供するという点です。これによりSSIは、計算資源を1桁(10倍規模)増やせるとされています。
Sutskever氏とは誰か
理解の助けとして、人物の背景を押さえておきます。
Ilya Sutskever氏は、現代のAIの基礎を築いた研究者の一人です。公式発表では、同氏の貢献としてAlexNet、AlphaGo、Sequence-to-Sequence学習、GPTモデル、そしてOpenAI o1のような推論モデルにつながる研究が挙げられています。
AlexNetは2012年に画像認識の精度を飛躍させ、深層学習ブームの起点になった研究です。AlphaGoは囲碁で人間の頂点を破りました。そしてGPTは、いま私たちが使っているAIの直接の祖先にあたります。
同氏はOpenAIの共同創業者兼チーフサイエンティストを務めた後、2024年にSSIを設立しました。会社はSutskever氏とDaniel Levy氏が率いています。
なぜ重要か
注目したいのは、SSIの位置づけです。公式リリースは同社を「世界初のstraight-shot(一直線の)SSIラボ。1つの目標と1つの製品を持つ。それは安全な超知能である」と表現しています。途中段階の製品を出さず、最終目標だけを追うという方針です。
そこに数千億円規模の投資と、最新の計算基盤へのアクセスが与えられたことになります。NVIDIAにとっては、次世代の研究拠点を早い段階で確保する意味があります。
両社はNVIDIAの現在および将来の計算基盤の技術開発でも協業するとしています。SSIが持つAIの将来像に関する知見を、ハードウェアの設計に反映させるという狙いです。研究と半導体設計が、より近い距離で結びつく動きだといえます。
②Claudeの共有チャットがGoogle検索に露出(7月27日報道)

2本目は、Claudeを使っている人にとって実害のある話です。
何が起きたか
7月27日、報道機関404MediaがClaudeで公開共有された会話が、Googleの検索結果に索引されていたと報じました。
きっかけは7月25日、あるRedditの利用者が特定の検索方法を使うと、Claudeの共有ページが多数見つかることを示した投稿でした。その後、複数の利用者が実際に中身を確認しています。
露出していた内容は深刻です。報じられた例には暗号資産のウォレットの鍵、APIの認証情報、患者と思われる医療報告書、子どもの名前と電話番号を含む文書、企業の社内資料、法律相談、履歴書が含まれていました。
なぜ検索に出てしまったのか
仕組みとしては、それほど複雑ではありません。
Claudeには、会話やArtifacts(作成物)に公開用のURLを発行して共有する機能があります。このURLは、知っている人なら誰でも開けます。
問題は、検索エンジンがそのURLを見つけて索引に取り込むことがある点でした。URLが何らかの形で外部に出れば、検索エンジンの巡回対象になります。結果として「リンクを知る人だけが見る」はずの内容が、検索で誰でも見つけられる状態になりました。
なお報道時点で、会話を対象とする検索手法の一部は対処されたものの、Artifactsを狙う別の手法はまだ機能していたとされます。Anthropicはその後、一晩のうちに検索結果からの削除を進めたと報じられました。
利用者が取るべき対応
読者の実務に直結するので、対応を整理します。
まず、自分が過去に作った共有リンクを確認してください。Anthropicの公式案内によると、手順は次のとおりです。
設定を開き、「プライバシー」から「共有チャット」の「管理」を選ぶ。一覧が表示されるので、不要なものはゴミ箱のアイコンから削除できます。
見落としやすいのがArtifacts(作成物)です。こちらは共有チャットとは別の項目になっており、「プライバシー」の「Your Data」にある「Shared artifacts」の「管理」から、「Unpublish」で取り下げます。今回の事案ではArtifactsを狙う検索手法が残っていたと報じられているため、こちらの確認も欠かせません。
ただし重要な限界があります。リンクの取り消しは今後のアクセスを止めるだけで、第三者がすでに保存したり、どこかに保管されたりしたコピーまでは消せません。解除すれば元通りというわけではない点は、前提として知っておく必要があります。
そのうえで、今後の使い方として共有リンクを作る前に、その会話に何が含まれているかを確認する習慣が要ります。認証情報、個人情報、社外に出せない資料が含まれていないか。
この種の事故は初めてではありません。昨年にはChatGPTでも同様に、会話が検索可能になっていた事例が報じられました。共有機能そのものの設計に、繰り返し同じ落とし穴があるということです。
③Microsoftが自社の画像生成・音声モデルを公開(7月23日)

3本目は、画像生成をめぐる大きな動きです。
何が起きたか
Microsoftは7月23日、自社開発の画像生成モデル「MAI-Image-2.5-Pro」と音声モデル「MAI-Voice-2-Flash」をパブリックプレビューとして公開しました。
MAI-Image-2.5-Proは、同社がこれまでに開発した中で最高品質の画像生成モデルと位置づけられています。細部まで描き込まれた画像の生成、自然言語での画像編集、そして画像の中に正確な文字を描くことを重視した設計です。
価格は、テキスト入力が100万トークンあたり5ドル、画像入力が8ドル、画像出力が106ドル(約1万7,000円)となっています。MAI Playgroundというサイトで無料で試すこともできます。
「文字が読める」ことの価値
このモデルで最も強調されているのが、文字の描画精度です。
画像生成AIの弱点として長く知られてきたのが、まさにここでした。看板やパッケージ、資料の見出しを作らせると、それらしい形をした判読できない文字列が並ぶ。デザインの仕事で使えない最大の理由でした。
正確に文字が描けるようになれば、用途は一気に広がります。広告のバナー、商品パッケージの試作、資料の図版。「作品を作る道具」から「仕事で使う道具」へ移るための、決定的な条件だといえます。
ただし重要な制限があります。正確に描けるのは英語のみとされており、日本語には対応していません。国内の実務で使う場合、文字部分は別途入れる前提になります。
なぜ重要か
この発表の背景にあるのは、MicrosoftがOpenAIへの依存を減らそうとしているという文脈です。
報道によれば、同社の自社モデル群は用途によってはOpenAIのモデルと比べて最大89%のコスト削減につながるとされます。すでにBing、PowerPoint、OneDrive、Dynamics 365、Azureといった製品で数百万規模の利用を支えているとも説明されています。
外部から借りるのではなく、自前で持つ。今週の他のニュースとも共通する流れが、画像生成の領域でも進んでいます。
④Midjourneyが占星術アプリ「Co-Star」を買収(7月23日)

4本目も画像生成の会社の動きですが、方向はまったく違います。
何が起きたか
画像生成AIで知られるMidjourneyが、占星術アプリ「Co-Star」を買収していたことが7月23日に明らかになりました。買収自体は今春に完了しており、これまで公表されていませんでした。
Co-Starは、出生図をもとにAIと人間の執筆を組み合わせて個人向けの助言を提供するアプリです。友人を登録すると相性も診断できます。基本は無料で、一部が有料機能となっています。
規模も小さくありません。調査会社Sensor Towerによると、月間の利用者は約430万人とされます。
狙いは消費者向けアプリへの進出
この買収でもっとも重要なのが、人事です。
Co-StarのCEOであるBanu Guler氏が、Midjourneyのチーフデザインオフィサーに就任しました。同氏は今後、Midjourney全体のデザイン・製品・フロントエンドのチームを構築し、率いる立場になります。
一方でCo-Starアプリ自体は、Guler氏の完全な管理下で独立して運営を続けるとされています。吸収して終わりではなく、独立性を保ったままの体制です。
つまりこの買収は、アプリを手に入れることが目的ではありません。消費者向けのアプリを作れる人材と組織を、まるごと迎え入れたという構図です。
なぜ重要か
Midjourneyはこれまで、画像を作る道具そのものを提供してきました。利用者の中心は、デザイナーやクリエイターです。
そこから一般の人が毎日開くアプリへ踏み出そうとしている。占星術という題材は、AIの技術力を前面に出さずに日常へ入り込める領域だといえます。
背景には、画像生成モデルの競争が激しくなっている事情もあります。③のMicrosoftをはじめ、大手が次々と参入する中で、モデルの性能だけで戦い続けるのは難しいという判断があってもおかしくありません。技術の会社が、消費者との接点を求めて動いた事例として注目されます。
⑤AnthropicとCognizantが提携を拡大。3万人が研修修了(7月27日)

5本目は、AIの企業導入が人材育成の規模に達したという話です。
何が起きたか
ITサービス大手のCognizantとAnthropicは7月27日、戦略提携の拡大を発表しました。Cognizantは、Claudeのパートナー制度において最上位にあたる「Global Premier Partner」の1社となります。
規模が具体的です。すでに3万人を超えるCognizantの社員がClaudeの研修を修了しており、最終的には35万人を超える全社員へ広げる方針とされています。
社内の育成計画も示されました。認定エンジニア5,000人、業務オペレーター1万人、そして4万人規模の認定候補者という目標です。
導入で出ている効果
発表では、実際の適用例と数値も公開されました。
Cognizantが顧客企業で展開した事例として、契約書のレビュー時間が最大40%短縮、情報抽出の精度が88%超、保険引受の調査が数時間から約1分へという結果が挙げられています。
適用先は製造業、ライフサイエンス、保険といった分野です。実験ではなく、本番の業務で使われていることが強調されました。Claudeは同社のFlowsource、Neuro AI Engineering、Neuro IT Opsといった基盤に組み込まれます。
なぜ重要か
この提携で注目したいのは、技術ではなく人の話になっている点です。
AIを導入する障壁は、もはやモデルの性能ではありません。誰がどう使うかを設計し、現場に定着させられる人材がいるかが問われる段階に入っています。35万人という規模で研修を計画する動きは、その認識の表れです。
企業がAIを導入する際、ツールの契約と同じくらい使える人を何人育てるかが計画に必要になる。この事例は、その現実を示しています。
⑥Microsoftがセキュリティ特化のAIモデルを投入(7月27日)

6本目は、③と同じMicrosoftの自社モデル戦略です。
何が起きたか
Microsoftは7月27日、セキュリティ用途に特化したモデル「MAI-Cyber-1-Flash」を、同社の脆弱性管理の仕組み「MDASH」に組み込むと発表しました。同日公開された公式ブログの題は「AIの時代にセキュリティを考え直す」というものです。
モデルの規模は実際に動作する部分が50億パラメータと、大型モデルに比べてかなり小さく作られています。競合と比べてコストが50%低いとされるのも、この設計によります。
性能として報告されたのが、CyberGymというベンチマークでの95.95%という数字です。ただしここには重要な条件があります。
96%はOpenAIのモデルとの併用で出た数字
押さえておきたいのが、この数値の出どころです。
95.95%という成績は、MAI-Cyber-1-Flash単体のものではありません。報道によると、OpenAIのGPT-5.4と組み合わせ、MDASHという仕組みの中で動かしたときの結果とされています。
分担も明確です。MAI-Cyber-1-Flashが日常的な作業のおよそ90%を引き受け、GPT-5.4は最も難しいケースだけを担当するという設計になっています。
つまりこれは、OpenAIのモデルを置き換える話ではありません。大半の定型作業を安価な自社モデルに任せ、難所だけ高価な外部モデルを使うという組み立てです。
⑧のCursorが取った「作業に応じてモデルを振り分ける」という発想と、根は同じだといえます。1つの万能な道具ではなく、複数の道具を役割ごとに使い分ける方向へ、業界全体が動いています。
なぜ重要か
セキュリティは、AIの導入が最も慎重に進められてきた領域の1つです。誤検知が多ければ現場は使えず、見落としがあれば被害が出ます。
約96%という成績と、コスト半減という条件が実際の運用で通用するなら、導入の判断は変わります。ただしベンチマークの成績と実務での有効性は別物であり、ここは第三者による検証を待つべき部分です。
あわせて、この数値が自社モデルと外部モデルの併用で出たものである点も踏まえておきたいところです。安いモデルだけで同じ成績が出るわけではありません。
⑦Meta Ray-Ban Displayが大型更新。声を出さずにAIを使える(7月27日)

7本目は、AIを使う場面の広がりです。
何が起きたか
Metaは、同社のディスプレイ付きスマートグラス「Meta Ray-Ban Display」に大型のソフトウェア更新(v127)を提供し始めました。
更新の柱は4つです。1つ目がMeta AIの中身が「Muse Spark」モデルへ刷新されたこと。同社によれば、回答の質、見ているものの理解、日常での提案がいずれも向上したとされます。公式が挙げている例は、衣類の繊維の成分を調べる、近くのカフェを探すといった日常的な用途です。
2つ目がThreadsアプリの追加です。グラス上でフィードを見て、投稿に反応し、メッセージへ共有し、音声で操作できるようになりました。手を使わずに操作できる点が強調されています。
残る2つは、次に詳しく見るニューラル手書きと、Instagram関連の機能改善です。
指で書いて、無音でAIに聞く
更新のうち最も目を引くのが「ニューラル手書き」です。ただし米国とカナダの早期アクセスプログラム参加者に限って利用でき、日本ではまだ使えません。
使い方はこうです。親指をダブルタップし、画面の「Write」を選ぶ。そのうえで、任意の面に指で文字を書く。すると声を出さずにMeta AIへ質問したり、音楽を再生したり、メッセージを送ったり、経路案内を出したりできます。
机の表面でも、膝の上でも構いません。手の動きを読み取って文字として認識する仕組みです。
なぜ重要か
見逃せないのは、音声という制約が外れる点です。
スマートグラスのAIは、これまで声で指示するのが基本でした。しかし電車の中、会議中、静かなカフェでは声を出せません。使える場面が限られることが、普及の壁になっていました。
指で書くだけで操作できるなら、その壁は下がります。周囲に気づかれずにAIへ問いかけられるという点は、便利さと同時にいつでもどこでもAIに頼れてしまうという別の論点も生みます。
⑧Cursorが作業に応じてモデルを自動で振り分ける機能を公開(7月22日)

8本目は、AIのコストを下げる仕組みです。
何が起きたか
開発ツールのCursorは7月22日、「Cursor Router」を公開しました。TeamsとEnterpriseの契約者が対象です。
仕組みは明快です。利用者からの要求を1件ずつ分析し、作業の種類と複雑さを判定したうえで、それに見合ったモデルへ自動的に振り分けます。難しい設計判断には高性能なモデルを、定型的な修正には安価なモデルを割り当てる形です。
利用者は「Intelligence(品質優先)」「Balance(均衡)」「Cost(費用優先)」の3つのモードから選べます。
コストは3割から6割下がる
効果として示された数値が具体的です。
早期アクセス期間に参加した数十社の企業では、最前線のモデルと同等の性能を、約30〜50%低いコストで得られたとされます。さらに数百万件の要求を対象としたA/Bテストでは、60%の削減という結果が報告されました。
技術面では、キャッシュの扱いを考慮して訓練と評価が行われている点が説明されています。振り分けによってキャッシュが効かなくなる場合のコストも、報告された削減幅には織り込まれているとのことです。
なぜ重要か
この機能が示しているのは、AIの使い方が「どのモデルを選ぶか」から「どう使い分けるか」へ移ったということです。
これまでは、最も賢いモデルを選んで使い続けるのが基本でした。しかし作業の9割が定型的なものだとすれば、そこに最上位のモデルを使うのは費用の無駄になります。
⑥のセキュリティ特化モデルと合わせて考えると、方向性は共通しています。1つの万能な道具ではなく、複数の道具を適材適所で使う。AIを本格的に業務へ組み込む段階に入ったからこそ、費用対効果が問われ始めたのだといえます。
8本を貫く流れ:借りる時代から、自前で持ち、使い分ける時代へ

8本を総覧すると、共通する方向が見えてきます。
1つ目が、自前で持つ動きです。③のMicrosoftは画像と音声の領域で自社モデルを投入し、外部への依存を減らそうとしています。④のMidjourneyは、モデルの提供から消費者向けアプリへ踏み出しました。
2つ目が、使い分ける動きです。⑥のMicrosoftは、定型作業の約90%を小型の自社モデルに任せ、難所だけOpenAIのモデルに回す構成を取りました。⑧のCursorも作業ごとにモデルを振り分けています。1つの万能な道具で全部こなす発想から、明確に離れつつあります。
3つ目が、扱いの難しさです。②では共有機能の落とし穴が露呈し、⑤では35万人規模の研修が必要とされ、⑦では声を出さずに使う手段が用意されました。AIをどう安全に、どう現場で使わせるかが、性能と同じくらい重い課題になっています。
そして①のNVIDIAとSSIの提携は、これらすべての土台にあたります。計算資源と研究への投資は、規模を増しながら続いています。
まとめ:今日のAIニュース8選の要点
最後に、8本を1行ずつで振り返ります。
- NVIDIAがIlya Sutskever氏のSSIと長期提携。報道では50億ドル(約8,000億円)の投資、Vera Rubinへのアクセスで計算資源が10倍規模に(7月27日)
- Claudeの公開共有リンクがGoogle検索に露出。ウォレットの鍵や医療情報も含まれ、利用者は共有設定の確認が必要(7月27日報道)
- MicrosoftがMAI-Image-2.5-ProとMAI-Voice-2-Flashを公開。画像内の文字を正確に描けるが英語のみ(7月23日)
- Midjourneyが占星術アプリCo-Starを買収。同社CEOがデザイン責任者に就任し、消費者向けアプリを開発へ(7月23日)
- AnthropicとCognizantが提携を拡大。3万人超が研修を修了し、35万人規模へ拡大予定(7月27日)
- Microsoftがセキュリティ特化のMAI-Cyber-1-Flashを投入。GPT-5.4との併用でベンチマーク95.95%、定型作業の約90%を自社モデルが担当(7月27日)
- Meta Ray-Ban Displayが更新。Muse Spark搭載のMeta AI、Threads対応、指で書いて無音操作する機能を追加(米国・カナダ限定・7月27日)
- Cursorが作業に応じたモデル自動振り分けを公開。コストを30〜50%、テストでは60%削減(7月22日)
借りる時代から、自前で持ち、使い分ける時代へ。あなたの仕事に一番近いのは、この8本のどれでしょうか。
よくある質問(FAQ)

Q1. Claudeを使っています。何を確認すればいいですか?
A. 設定から「プライバシー」を開き、「共有チャット」の「管理」で一覧を確認してください。不要なものはゴミ箱のアイコンから削除できます。あわせて、同じ「プライバシー」内の「Your Data」にある「Shared artifacts」も確認してください。Artifactsは共有チャットとは別管理で、見落としやすい部分です。ただしリンクを取り消しても、第三者がすでに保存したコピーまでは消せません。報じられた事例では、暗号資産のウォレットの鍵、APIの認証情報、医療報告書、個人名や電話番号を含む文書などが検索結果に出ていました。今後は共有リンクを作る前に、その会話に外部へ出せない情報が含まれていないかを確認する習慣が有効です。
Q2. Microsoftの新しい画像生成モデルは、日本語の文字も描けますか?
A. 現時点では描けません。MAI-Image-2.5-Proの特徴として強調されているのは画像内テキストの正確な描画ですが、対応は英語のみとされています。日本語を含むデザインを作る場合は、画像を生成したうえで文字を別途入れる作業が必要になります。なお同モデルはMAI Playgroundで無料で試すことができ、価格は画像出力が100万トークンあたり106ドルです。
Q3. NVIDIAがSSIに50億ドルを投資したというのは確定した情報ですか?
A. 金額については確定していません。50億ドルという数字はブルームバーグの報道によるもので、NVIDIAとSSIは公式発表の中で財務条件を開示していません。公式に明言されているのは、長期的な戦略提携を結んだこと、NVIDIAが投資を行うこと、そしてSSIが次世代のVera Rubinプラットフォームへアクセスできるようになり計算資源を1桁増やせることです。金額は報道による数字として受け止めるのが正確です。
筆者より
今回いちばん手が止まったのは、Claudeの共有リンクの話でした。僕自身も共有リンクを作ることがあり、まさか検索に出るとは考えていませんでした。技術の問題というより、「共有」という言葉から受ける印象と実際の仕組みがずれていたのだと思います。便利な機能ほど、何が起きているのかを一度確かめておく必要がある。そう感じた一件でした。なお本日は、発表日を一次情報で確認できたニュースが8件でした。数を合わせるための水増しはしていません。事実関係の誤りや新しい情報にお気づきの点があれば、コメント欄で教えてください。
参考資料
- NVIDIA公式プレスリリース「Ilya Sutskever’s Safe Superintelligence Inc. and NVIDIA Announce Long-Term Strategic Partnership」(2026年7月27日)/ブルームバーグ・TechCrunch
- 404Media「Tons of Peoples’ Claude Chats and Creations are Exposed on Google」(2026年7月27日)/TechCrunch・VentureBeat
- Anthropic公式プライバシーセンター「Share and unshare chats」(共有リンクとArtifactsの管理手順)
- Microsoft AI公式「Introducing MAI-Image-2.5-Pro and MAI-Voice-2-Flash」およびモデルカード(2026年7月23日)/VentureBeat
- Microsoft AI公式「Introducing MAI-Cyber-1-Flash inside MDASH」およびMicrosoft公式ブログ「Rethinking security for the age of AI」(2026年7月27日)/MarkTechPost・VentureBeat
- TechCrunch「Midjourney acquired the astrology app Co-Star」(2026年7月23日)/ブルームバーグ・Engadget
- Cognizant公式/Anthropic公式「Expanding our partnership with Cognizant」(2026年7月27日)
- Meta公式ブログ「Meta Ray-Ban Display Glasses Get Even Better with Threads and New Version of Meta AI」(v127・2026年7月27日)
- Cursor公式「Introducing Cursor Router」(2026年7月22日)












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