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AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか
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みなづちです。

2026年8月2日時点で押さえておきたいAIニュースを、重要度順に10件まとめました。

今回は、EU AI法第50条の対象範囲で、AIとの対話や一部のAI生成・加工コンテンツに透明性義務が始まったことOpenAIが10年以上進展のなかった数学・理論計算機科学の10問に新しい結果を提示し、その著者を誰にするかという問いが出たこと、そして顔と声を固定したまま動画を量産できるようになったことが大きなテーマです。

本記事では、以下のポイントから解説します。

  • EU AI法の透明性義務が、きょうから実際に効き始めること
  • OpenAIが数学・理論計算機科学の10問に新結果を出すために使った金額と、次期モデルの名前
  • Grok Imagineが「同じ顔・同じ声」を全シーンで保てるようになったこと
  • 他人の写真を脱がせる加工を禁じる法律が、全米で初めて施行されたこと
  • サム・アルトマン氏の子育て投稿に、同時取得時点で約15倍のいいねを集めた返信が付いたこと

なお本日は、日本時間8月1日から8月2日にかけての発表・公開から選んでいます。8月1日は土曜、2日は日曜にあたり、企業の新製品発表そのものは平日より少ない2日間でした。見出しの日付はすべて日本時間で、現地表示日と異なる場合は本文に併記しています。本文中の過去の日付は各社・各機関の現地表示日を使っています。ドル建ての金額は1ドル160円で換算しました。

目次

EU AI法が適用開始、OpenAIは数学10問に新結果。まとめ10選の結論

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

まず結論からお伝えすると、「AIが作ったものに、対象に応じてAI製だという印を付ける」という話が、方針から法的義務へ移った日でした。

日本時間8月2日、EU AI法の第50条(透明性義務)が適用開始になりました。欧州委員会の公式ページには「Article 50 of the AI Act applies from 2 August 2026」と明記されています。ChatGPTやGeminiのような生成AIの提供者は、利用者にAIとやりとりしていることを知らせ、生成物に機械が読める印を付けることを求められます。

その前日、OpenAIは欧州向けに来歴表示の方針を公表しました。画像に加えて音声にも透かしを広げるという内容です。ただし音声で使えるのはSynthIDの透かしだけで、C2PAのメタデータは画像のみでした。

同じ日、OpenAIはまったく別の発表もしています。10年以上進展がなかった数学と理論計算機科学の問題10問に、新しい結果を出したというものです。使われたのは「Astra」という次期モデルの内部版で、必要だったトークンの費用はSolのAPI料金換算で約2,000ドル(約32万円)でした。

一方xAIは、Grok Imagine Video 1.5に画像・音声リファレンスを追加し、全シーンで同じ顔と同じ声を保った動画を作れるようにしました。そして米ミネソタ州では、他人の写真を脱がせる加工を禁じる全米初の法律が8月1日に施行され、xAIによる差し止め請求は連邦地裁に却下されています。

筆者の視点:OpenAIとGoogleが同じ日に出した「家族カレンダー」の話

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

僕自身、今回のニュースを追う中で考えたことがあります。

同じ発想が2社から出て、片方だけが炎上した

いちばん面白かったのは、⑥と⑩がまったく同じ発想だったことです。

⑥はOpenAIのサム・アルトマン氏の投稿で、「家族のカレンダーをつないで、子どもの興味を説明しておく。毎朝の通学の車内用に、その日の午後にあるサッカーの試合や、もうすぐ来る誕生日、それにニュースを話すポッドキャストを作らせる」という内容でした。

⑩はGoogle Geminiの公式GitHub組織で公開された「Glanceboard」です。家族のカレンダーと現地の天気を読み、その日の天気に合った服装をした子どもたちのイラストを生成して、電子ペーパーの額縁に表示するという仕組みでした。

家族の予定をAIに読ませて、子どものために朝ひとつ何かを作る。発想はほぼ同じです。それなのに反応は正反対でした。

⑥には「子どもと話せばいいのでは」という返信が付き、その返信のいいねが8月2日朝の同時取得で元投稿の約15倍に達しました。⑩は、親子の会話ではなく明るい画面と通知を電子ペーパーへ置き換える設計です。

違いは何かと考えると、置き換えようとしたものが違うのだと思います。⑥が作らせようとしたのは「親が子どもに話しかける時間」でした。⑩が置き換えたのは「朝、明るい画面を見て通知に急かされる時間」です。同じAIでも、何の代わりに置くかで受け取られ方がここまで変わるのは、覚えておく価値があると感じました。

「AI製だと示す義務」と「顔と声を固定する技術」が同じ日に来た

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

もう1つ引っかかったのは、①③と④⑤の距離です。

①でEUが求めたのは、AI生成物に機械が読める印を付けることでした。③でOpenAIが広げたのも、その印を音声にまで付ける取り組みです。どちらも「作られたものに印を残す」方向を向いています。

ところが④で、xAIはキャラクターの画像と声の参照を渡せば「すべてのシーンで同じ顔、同じ声」になる機能を出しました。参照は1回の生成につき最大7点まで指定できます。作る側から見れば表現の幅が広がる話ですが、特定の人物の顔と声を固定して量産できるということでもあります。

そして⑤では、まさにその種の加工を禁じる法律が全米で初めて施行され、xAIが差し止めを求めて却下されました。

印を付ける制度が動き出した日に、印を付けても止まらない使われ方への訴訟が動いていた。制度と技術は同じ日に進んでいて、しかも同じ速さではないのだと改めて思います。

「AIが書いた証明を、人間の著作とは呼ばない」という線引き

3つ目は②です。数学の話ですが、実は①と同じ問いを扱っています。

OpenAIは、10問の結果を出したうえでこう書いています。「帰属は、その結果がどのように生み出されたかを正直に反映すべきだと私たちは考える。AIシステムが完全に生成した証明について人間の著作を主張することは、システムの貢献と、真に人間的な知的作業の性質の両方を偽ることになる」

そのうえで、原稿の準備とLeanでの形式化は自分たちが行い、正しさの責任は負う。ただし数学的な議論そのものはシステムが生成した、と役割を分けて書いていました。

①が求めているのも、突き詰めれば同じことです。誰が作ったのかを、受け取る側が分かる形で残す。それが画像や音声では機械可読マークになり、学術論文では著者の書き方になる。出てくる形は違っても、問いは1つなのだと読めます。

①EU AI法の透明性義務が8月2日に適用開始、制裁金は最大1500万ユーロ(8月2日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月2日、EU AI法の第50条が適用開始になりました。生成AIを提供する側と、業務で使う側の両方に、それぞれ別の義務がかかります。

提供者は「AIとの対話の明示」と「機械可読マーク」の2つを負う

欧州委員会のガイドライン紹介ページには、「Article 50 of the AI Act applies from 2 August 2026」と書かれています。適用開始は現地時間8月2日で、時差を換算すると日本時間でも8月2日です。

提供者(provider)に求められるのは2つです。1つは「利用者が直接AIシステムとやりとりしているときは、必ず明示的に知らされるようにシステムを設計すること」。もう1つは「AI生成・加工コンテンツの検出を可能にする機械可読マークを付けること」です。

公式FAQはこのマークについて、「効果的で、信頼でき、頑健で、相互運用可能な機械可読マーク」である必要があるとしています。チャットボット、AIエージェント、アバターなどが対象に挙がっています。

導入者(deployer)の側にも義務があります。開示が必要なのは感情認識・生体分類ツールディープフェイク、そして人間のレビューや編集責任を経ていない、公共的関心事に関するAI生成テキストの公表の3類型です。

なお、ディープフェイクのうち芸術的・創作的・風刺的・フィクション等の作品に含まれるものについては、開示義務は作品の表示や鑑賞を妨げない適切な方法での開示に限定されると明記されています。

制裁金は最大1500万ユーロ、ただし執行の主体は加盟国の当局

EU AI法第99条では、第50条違反の制裁金を最大1500万ユーロ、または事業者の場合は前会計年度の全世界売上高の3%の、いずれか高いほうと定めています。中小企業(SME)については、各制裁金は定額と売上高比率のいずれか低いほうを上限とする規定があります。具体的な金額は違反の性質・重大性・期間などを踏まえて決まります。

ここで見落としやすいのが執行の主体です。FAQは「規則の遵守は、主として加盟国の所管市場監視当局によって執行される」と明記しています。

EUのAI Officeについては、さらに限定が付きます。「AI Officeの監視・執行における役割は限定的である。同一の事業者がシステムとモデルの両方を提供している場合、または当該AIシステムがデジタルサービス法で指定された超大規模オンライン検索エンジンもしくは超大規模オンラインプラットフォームに統合されている場合に限り、汎用AIモデル上に構築されたAIシステムについて権限を持つ」とされています。

第50条の執行は原則として各国の当局が担う、という点は押さえておくべきところだと思います。

猶予は限定的で、8月2日より前のコンテンツには遡及しない

猶予期間の規定もありますが、二重に限定されています。

FAQの原文は「限定的な猶予期間は、2026年8月2日より前に市場投入されたAIシステムについてのみ、かつAI生成コンテンツのマーキング・検出義務(第50条(2))に関してのみ想定されている」で、「のみ(only)」が2回使われています。「そうしたシステムの提供者は、2026年12月2日からのみ、これらの義務を遵守すればよい」とも書かれています。

すでに作られたコンテンツについては、「2026年8月2日より前に生成されたコンテンツは、遡ってラベル付けする必要はない」とされています。ただし委員会は、可能な範囲での自主的な遡及ラベリングを推奨(encourages)してもいます。

マーキング義務の対象外も列挙されています。数字・記号・文字の短い連なり、ソースコード、人間に露出せず機械間で自動処理される出力、クローズドループの産業・製品開発環境での出力などです。加えて「AIシステムが標準的な編集の補助機能を果たす場合、AI生成・加工された合成コンテンツにマークを付ける義務は適用されない」という規定もあります。

日本の事業者にも及ぶ条件と、約190団体が署名した行動規範

日本から見て重要なのは域外適用の規定です。FAQには「EU域外に設立または所在するAIシステムの提供者も、そのAIシステムの出力がEU域内で使用される場合には、AI法の規定の対象となる」とあり、「これは、当該提供者がEU域内に設立・所在しているか第三国であるかを問わない」と続きます。

日本国内だけで完結する一般的な利用が直ちに対象になるわけではありません。一方、日本企業でもEU市場にAIシステムを提供し、その出力がEU域内で使われる場合は対象になりえます。またChatGPTのようなグローバルサービスが対応を実装すれば、その結果が日本の画面にも表れる可能性があります。日本語対応や日本での価格に関する記載は公表されていません。

任意の行動規範も動いています。欧州委員会は「約190団体がAI生成コンテンツの透明性に関する行動規範に署名した」と公表しました。内訳は提供者向けのセクション1が83団体、導入者向けのセクション2が152団体です。署名者の約半数は小規模・新興企業だとされています。

セクション1の署名例として挙がっているのは、Aleph Alpha、Anthropic、Black Forest Labs、Cohere、Google、Meta、Microsoft、Mistral、OpenAI、Synthesiaです。

セクション2にはBulgari、Fastweb、Getty Images、Iberdrola、Lenovo、Lufthansaが並んでいます。

この行動規範は任意であり、署名しない事業者は代替の同等手段で遵守を立証する必要があります。

なお高リスクAIの規制は延期されました。規制製品に組み込まれる高リスクAI(Annex I)は2028年8月2日まで、雇用・教育・信用スコアリングなど機微な分野での高リスク用途(Annex III)は2027年12月2日までの移行期間となっています。理由はAI法を簡素化する提案「AI Omnibus」をめぐる政治合意とされています。

所感:義務が動いたのは表示だけで、判定は各国に委ねられた

引っかかったのは、義務が動いた範囲と執行の主体がずれていることです。ルール自体はEUで1つに決まったのに、実際に取り締まるのは各加盟国の市場監視当局で、AI Officeの役割は条件付きで限定されています。同じ条文でも国ごとに運用が割れる余地は残っていると読めます。

もう1つは、免除の列挙がかなり広いことです。標準的な編集の補助にあたる場合は対象外という規定は、写真の修整や文章校正のような日常的な使い方をどこまで含むのかで解釈が分かれそうだと感じました。制裁金の額より先に、自分の使い方がどちらに入るのかを確かめておくほうが役に立ちそうです。

②OpenAIが数学など未解決10問に新結果、次期モデルAstraの内部版で(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日9時、OpenAIが公式サイトで「Ten advances in mathematics and theoretical computer science」を公開しました。現地表示は8月1日、カテゴリはPublicationです。

10年以上進展のなかった問題に、Sol換算で約2,000ドルのトークン

OpenAIは今回の対象を「少なくとも10年、多くの場合はそれよりはるかに長い間、未解決のままで、主要な結果に進展が見られなかった問題」と説明しています。

注目すべきは、結果をどの主体が生み出したかです。原文には「これらの結果は、私たちの次の主要モデルであるAstraの内部バージョンによって達成された」と書かれています。Astraという名前は、この記事の時点で製品として発表されていません

費用も明示されました。「これらの問題の解を見つけるために必要となったトークンの総数は、SolのAPI料金でおよそ2,000ドルに相当する」という記載です。1ドル160円で換算すると約32万円になります。

手順も分けて書かれています。議論はモデルが生成し、それを人間が同じモデルを使って原稿にまとめ、そのあとモデルが各議論をLean証明支援系の証明として形式化したという流れです。加えて、それぞれの解について、モデルが自分の思考プロセスを語ったものも公開するとしています。

対象はErdős問題183・146・180を含む8分野

問題の範囲は高次元幾何、符号理論、算術回路計算量、群論、作用素環論、量子計算量、格子暗号、極値組合せ論にまたがります。

具体的な10件のうち、内容が分かりやすいものを挙げます。高次元の球充填ではCohn–Elkies閾値まで充填密度の新しい上界が示されました。非ソフィック群については、その存在を示す構成が与えられ、群論の中心的な未解決問題に答えたとされています。Connesの剛性予想は反証されました。

暗号に関わる項目もあります。最近ベクトル問題(closest vector problem)について多項式因子の近似困難性が示されたというもので、OpenAIはこれを耐量子暗号に関連する基礎的な格子の問題と位置づけています。

エルデシュの名前が付いた問題について、OpenAIは3件を解決したと位置づけています。多色ラムゼー数では多色三角形ラムゼー数の超指数的な下界が示され、エルデシュ問題183が解決されたとしています。極値グラフ理論のコンパクト性予想と退化性予想では、エルデシュ問題146と180を解決したという説明です。

ただし、これはOpenAIが公表した研究結果です。数学コミュニティによる独立検証や査読を経て広く確定した、とまではこの記事執筆時点で確認できません。OpenAI自身も、数学コミュニティが結果を検討し、文脈の中に位置づけることを期待すると書いています。

前史もあります。2026年5月、OpenAIは未公開モデルの評価中に見つかったエルデシュ単位距離予想のAIによる反証を公表しており、今回はその延長線上にある発表です。

「AIが完全に生成した証明に人間の著作を主張することは偽りになる」

この記事で最も踏み込んでいるのは、著者性についての記述だと思います。

OpenAIはまず、「数学研究に貢献できるシステムの登場は、テクノロジー企業だけでは答えられない問いを提起する」と書き、AIと数学に関するライデン宣言の署名者を含む、影響を懸念する人々への深い敬意と理解を表明しています。

そのうえでの記述が次のものです。「帰属は、その結果がどのように生み出されたかを正直に反映すべきだと私たちは考える。AIシステムが完全に生成した証明について人間の著作を主張することは、システムの貢献と、真に人間的な知的作業の性質の両方を偽ることになる」

責任の所在も明示されています。「私たちは原稿の準備とLeanでの証明の形式化を手伝い、その正しさについて責任を負う。一方で、数学的な議論そのものは私たちのシステムが生成した」という切り分けです。

なお関連する動きとして、OpenAIは「ChatGPT for Academic Researchers」で10万人の科学者・数学者に最良のChatGPTモデルへの無償アクセスを提供する取り組みを先日発表したとも記しています。

所感:金額より、名前が先に出てしまったことが気になる

いちばん引っかかったのは、Astraという名前がこの形で出てきたことです。製品発表ではなく数学の成果報告の中で、次の主要モデルの名前と、その内部版が使われたことだけが明かされました。性能の数値も提供時期も書かれていません。読む側としては、判断材料のない名前が1つ増えた状態だと思います。

もう1つは、約2,000ドルという金額の受け止め方です。これはOpenAIが解を見つけるために必要だった総トークンをSolのAPI料金で換算した数字で、研究全体の人件費や検証費を示すものではありません。同じ金額で誰でも同じ結果を再現できる、とまでは読めないと感じました。

③OpenAIが欧州向けに来歴表示の方針を公表、音声はSynthIDのみ対応(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日0時、OpenAIが公式ブログに「Advancing responsible AI across Europe」を公開しました。①のEU AI法が次の段階に入るのに合わせた文書です。日本語版のページも用意されています。

C2PAとSynthIDの2系統、音声に広げたのは透かしだけ

冒頭にはこう書かれています。「EU AI法が次の段階に入るにあたり、私たちがEUの枠組みに沿って安全性・セキュリティ・透明性・来歴へのアプローチをどう強化してきたか、そしてAIの進展に合わせて実務をどう発展させ続けるかを共有する」

来歴の仕組みは2系統だと説明されています。「互いを補強する2つのシステムに依拠している。Content Credentials(C2PA)はコンテンツが詳細な文脈を運ぶのを助け、SynthIDの透かしはメタデータが残らなかったときにシグナルを保つのを助ける」という書き方です。

そして今回の更新点が「私たちはその取り組みを、画像に加えて音声出力を含むよう拡大している」という一文でした。

ここで注意が必要なのは、音声で効くのはSynthIDだけだという点です。記事からリンクされたOpenAIのヘルプセンターの対応表では、画像は「C2PAメタデータとSynthID透かし」の両方、音声は「SynthID透かし」のみとなっています。

ヘルプの注記も「ChatGPT、Codex、OpenAI APIで生成された対応する画像には両方のシグナルが含まれる」対応するOpenAI生成音声には、音声そのものに埋め込まれた聞き取れない透かしが含まれる」と書き分けられています。

テキストは「標準とツールの成熟に合わせ」取り組み中

テキストについても言及がありますが、限定句が付いています。

原文は「標準とツールが成熟を続けるのに合わせて、テキストを含む各モダリティにわたってOpenAIのシステムの来歴措置を拡大すべく取り組んでいる」です。取り組み中であって、テキストへの来歴付与が提供開始されたとは書かれていません

限界についても、OpenAI自身が明記しています。「来歴はまだ発展途上の分野だ。メタデータは失われうるし、ラベルはプラットフォームをまたいで伝わらないことがあり、単一のシグナルで完全なものはない」。だからこそ多層的なアプローチを支持する、という続き方です。

適用範囲にも限定があります。「カバー範囲は、製品、モデル、書き出し経路、ファイル形式、そしてコンテンツがいつ作られたかによって異なりうる」とされ、全生成物に必ず付くとは書かれていません。文章全体を通して「対応する(supported)」という限定が付き続けます。

検証ツールは他社のAI生成物を検出しない

検証手段としては、openai.com/verify で対応する画像・音声ファイルの来歴シグナルを確認でき、開発者向けの検証APIも提供されています。

ただしヘルプセンターには「このツールは、他のAIサービスで生成されたコンテンツを検出するようには設計されていない」と明記されています。シグナルが検出されなかったからといって、AI生成でないことにはならないという点も書かれており、理由として生成時期、非対応の書き出し経路、メタデータの剥離、圧縮や切り抜きによる劣化、音声が短すぎる場合などが列挙されています。

このほか、OpenAIはEUの汎用AI(GPAI)行動規範とAI生成コンテンツの透明性に関する行動規範の2つに貢献し、支持を表明したと記載しています。2026年5月初めに開始したOpenAI EUサイバー行動計画のもとで、EUおよび各国のサイバー当局、民間企業パートナー、重要インフラ事業者と連携してきたとも書かれています。

なおガバナンス枠組みについては書き分けがあります。Preparedness Frameworkは2023年から運用され2025年に更新されたもので、高度なAIシステムからの深刻なリスクをどう特定・評価・管理するかを定めるもの。一方、EU AI法のGPAI行動規範を含む新たな法的要件との整合を説明するのはFrontier Governance Frameworkのほうだとされています。

所感:検出できない側の理由が、あらかじめ列挙されている

この文書で誠実だと感じたのは、効かない条件を先に並べていることでした。圧縮、切り抜き、短すぎる音声、非対応の書き出し経路と、失敗する経路が具体的に書かれています。売り込む文書なら書かなくてよい部分だと思います。

そのうえで残るのは、画像と音声で付くシグナルが違うことです。音声に乗るのは透かしだけで、C2PAのメタデータは画像にしか付きません。自分の生成物を扱うときは、どのモダリティにどちらのシグナルが乗っているのかを、製品ごとに確認するところから始めるしかなさそうです。

④xAIのGrok Imagine 1.5が参照7点と1080pに対応(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日、xAIが公式サイトで「Grok Imagine Video 1.5」への機能追加を発表しました。新モデルの公開ではなく、先月ローンチしたモデルへの追加更新です。

参照画像は1点につき顔・商品・場所を1つ固定、最大7点

今回の中心は参照(リファレンス)機能です。発表ページには、それぞれの参照画像が顔・商品・場所のいずれか1つを固定するとあります。指定できる数は「1回の生成につき参照は最大7つまで」です。

使い方の例も挙げられています。「キャラクターを保ったまま場面を差し替える、場面を保ったままキャラクターを差し替える、あるいは両方を保って動作だけを変える」という3通りです。

音声も固定できるようになりました。キャラクター画像とボイスリファレンスを渡すと、すべてのシーンで同じ顔と同じ声を保てるという記載です。ただし精度や失敗率、一貫性の数値指標は一切示されていません

解像度も上がりました。「ネイティブ1080pが、テキストから動画への生成と画像から動画への生成の両方でサポートされるようになった」とされています。

提供は米国のSuperGrok上位2プラン先行、Androidは対象外

提供条件は細かく分かれているので、順に確認します。

参照機能について原文は「画像とボイスのリファレンスは、本日より米国内でSuperGrok HeavyとSuperGrok Plus向けに、grok.com/imagineとiOSで開始し、今後数日のうちに全ティアへ展開する」としています。

ここには4つの限定が同時に入っています。米国内であることSuperGrok HeavyとSuperGrok Plusという上位2プランであることgrok.com/imagineとiOSのみでAndroidは含まれないこと、そして「全ティア」はプラン区分の拡大を示す表現で、国や地域の拡大には触れていないことです。

一方、テキストから動画への生成とネイティブ1080pは扱いが違います。「テキストから動画への生成とネイティブ1080pは、grok.com/imagine、iOS、Androidで一般提供されている」と書かれており、この2つにだけAndroidが明記されています。

APIについても差があります。「画像リファレンス、テキストから動画への生成、ネイティブ1080pは、私たちの最良の動画モデルであるgrok-imagine-video-1.5とともにxAI APIで稼働している。ボイスリファレンスのサポートは要リクエストで利用可能だ」音声だけが申請制という形です。

なお、xAIの公式情報には更新のずれがあります。7月31日のニュースページは画像リファレンスがAPIで稼働中としていますが、6月18日更新のReference-to-Videoドキュメントには、Video 1.5はリファレンスモード非対応という古い記載が残っています。より新しい発表を採用しましたが、実装時にはAPIの実挙動を確認する必要があります

なお発表ページ本文に料金の記載はありません。掲載されているPythonのサンプルコードでは、解像度が1080pではなく720p、長さ6秒、アスペクト比16:9で指定されています。

APIの料金は1080pで1秒あたり0.25ドル

料金は発表ページではなく、xAIの公式ドキュメント側に記載があります。

Imagine APIの料金表では、grok-imagine-video-1.5についてメディア入力が1枚あたり0.01ドル、480pが1秒あたり0.08ドル、720pが1秒あたり0.14ドル、1080pが1秒あたり0.25ドルとされています。1ドル160円で換算すると、480pが約12.8円/秒、720pが約22.4円/秒、1080pが約40円/秒、入力画像が約1.6円/枚です。

サンプルと同じ6秒の動画を1080pで作ると、0.25ドル×6秒=1.50ドル=約240円になります。

同じ公式ドキュメントには、動画生成の長さが最長15秒で、対応解像度が480p/720p/1080pであることも書かれています。参照画像については「1枚以上の参照画像で、最初のフレームを強制することなく出力を誘導する」と説明されています。なお画像編集(Multi-Image Editing)のほうは参照画像が最大3枚までで、動画の最大7点とは別の機能・別の上限です。

日本での提供については、参照機能が米国先行と明記されている以外に言及がありません。日本語対応や国内価格も公表されていません。

所感:数値がないまま「同じ顔・同じ声」と言い切っている

引っかかったのは、提供条件が機能ごとにばらばらなことです。参照機能は米国の上位2プランでiOSのみ、テキストから動画とネイティブ1080pはAndroidを含む一般提供、APIではボイスだけが申請制。同じ発表の中で4通りの条件が並んでいて、自分が使えるかどうかを1行では判断できません。

もう1つは、目玉として掲げた1080pが、同じページのサンプルコードでは720p指定になっていたことです。料金は1秒あたり0.25ドルで720pの1.8倍近く、6秒なら約240円になります。試し撮りを重ねる使い方だと、この差は思ったより早く積み上がりそうです。

⑤全米初のヌード化禁止法が8月1日施行、xAIの差し止め請求は却下(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

米ミネソタ州で、他人の画像を「ヌード化」する加工を禁じる法律が施行されました。Grokを運営するxAIが差し止めを求めていましたが、連邦地裁は現地7月31日にこれを却下しています。

却下の理由は「施行の3日前に申し立てた」こと、審尋は8月19日

米連邦地裁ミネソタ地区のDonovan Frank判事は、2ページの命令でこう記しました。「xAIは2026年7月29日に申立てを行った。法律が署名されてからおよそ3か月後、そして法律が施行される予定日のわずか3日前である。訴えおよび申立ての提起におけるこのような遅れは、損害が差し迫ったものではないことを示唆する」

つまり中身の是非ではなく、緊急性がないという理由での却下です。実際、報道は「裁判所は後の時点で法律を停止させることもできる」とも書いており、これが最終判断ではありません。予備的差止命令を認めるかどうかの審尋は8月19日に予定されています。

同法は5月に民主党のティム・ウォルツ知事が署名したもので、ヌード化技術を禁止する全米初の法律とされています。ウォルツ知事は火曜にXへ「See you in court, creep」と投稿しました。

ミネソタ州司法長官のKeith Ellison氏は7月31日に反論書面を提出し、「自発的な遅延が、司法長官や裁判所にとって作り出された緊急事態を生むべきではない」と主張しています。

適用は「本人のものだと信じる程度に写実的」な場合に限られる

法律の中身も、限定を落とさずに読む必要があります。

対象となるのは、ウェブサイト・アプリ・ソフトウェアを所有または管理する者が、利用者に他人の画像を「ヌード化」させることで、ヌード化機能の広告も禁止されます。

「ヌード化」の定義は「特定可能な個人の、加工されていない元の画像・動画には写っていない身体の秘部を描写するように、改変または生成されたもの」です。

そして重要な限定があります。報道は「この法律が適用されるのは〜の場合に限られる」と明記したうえで、「改変または生成された画像・動画が、合理的な人物であればその秘部が当該特定可能な個人のものだと信じるほどに写実的である」場合だとしています。「〜の場合に限って(only when)」という限定です。

さらに条文には、サービスが利用者にヌード化を行わせるために「技術的技能」を必要とする場合は、この禁止を適用しないという例外があります。規制の範囲を左右する重要な例外で、単純にすべての画像編集ソフトを禁じる法律ではありません。

民事制裁金は1件あたり最大50万ドル、刑事罰はない

罰則は民事です。条文の文言では「不正なアクセス、ダウンロード、または使用の1件ごと」に最大50万ドル(1ドル160円換算で約8,000万円)の民事制裁金が科されます。

これに加えて、被害者は精神的苦痛を含む補償的損害賠償(実損の最大3倍)、懲罰的損害賠償、弁護士費用、あるいは裁判所が正当かつ衡平と認めるその他の救済を求められます。この州法は民事の執行・救済を定めており、刑事罰は置いていません。執行については州司法長官が執行でき、被害者は自ら訴えることができるという書き方です。原文は「できる(may)」であって義務ではありません。

xAI側は憲法修正第1条の表現の自由に反すると主張しました。逐語では「この法律は過剰に包括的であり、同じ目的を達成するために機能する、はるかに制限の少ない代替手段が存在する」という主張です。

訴状ではGrok Imagineによる画像・動画生成が修正1条の保護対象であり、同法には企業の善意の努力に対する「セーフハーバー(免責の枠)」がないとも述べています。ただしxAIは、ヌード化サイトやアプリを禁じることについてのミネソタ州の利益(interest)そのものは争っていません

背景として、報道は「12月のモデル公開のあと、Grokは利用者の求めに応じて、着衣を減らした人物の性的なディープフェイクを大規模に生成し始め、世界的な非難といくつかの法域での調査を招いた」と記しています。

1月にはAppleが、変更しなければApp StoreからGrokを削除すると警告し、4月時点でもなお同意のない性的画像の生成が続いていたとされています。7月にはサンフランシスコ市法務官のDavid Chiu氏が、AppleとGoogleにヌード化アプリの削除を求める差止要求書簡を送付しました。

なお表現の自由をめぐっては反対の立場もあります。ミネソタ州のACLUは2月時点の初期形態の法案は成立を支持していましたが、その後反対に転じました。非同意の作成・拡散が被害を与えうることは認識しているとしつつ、最終版は修正1条とのバランスが取れていないという批判です。表現の自由団体FIREも、同法は過度に広範だとしています。

所感:法律より先に、Appleの警告のほうが速く効いていた

時系列を並べて印象に残ったのは、法律が動くまでの遅さでした。12月に問題が広がり、1月にAppleがApp Storeからの削除を警告し、それでも4月時点で生成が続き、5月に署名された法律が8月にようやく施行されています。プラットフォームの一言のほうが、立法より何か月も速く届いていたことになります。

もう1つ考えたのは、却下の理由が中身に触れていないことです。判事が指摘したのは申立てが3日前だったという手続きの話で、法律が憲法違反かどうかは8月19日の審尋に持ち越されました。この件をどちらかの勝ちとして読むには、まだ早いのだと思います。

⑥アルトマン氏の「家族カレンダーで朝のポッドキャスト」に15倍の反応(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日1時1分、OpenAIのサム・アルトマンCEOが自身のXアカウントに投稿しました。内容そのものより、付いた返信のほうが大きく広がっています。

投稿は「昨夜聞いた」使い方の紹介で、OpenAIの発表ではない

投稿の全文はこうです。「昨夜聞いたChatGPT Workのかっこいい使い方:家族のカレンダーをつないで、子どもたちの興味を説明しておく。毎朝の通学のドライブ用に、その日の午後にある一人の子のサッカーの試合、もう一人の子のもうすぐ来る誕生日、それにいくつかのニュースなどを話すポッドキャストを作らせる」

原文に「昨夜聞いた(i heard last night)」とある通り、これは伝聞として紹介されたもので、OpenAIの新機能・新製品の発表ではありません。実際、OpenAIの公式ヘルプとリリースノートを確認しても、カレンダー連携やポッドキャストへの言及は見当たりません。公式にドキュメント化された手順ではないということです。

「子どもと話せばいいのでは」が15万いいね、元投稿は1万

反応が分かれたのはここからです。

3時間後、アニメ『Gravity Falls』の制作者であるAlex Hirsch氏が返信しました。「@sama もし、ただお子さんと話したらどうでしょう」という一文です。

2026年8月2日9時43分時点で両方を同時に確認したところ、元投稿はいいね約1.1万件、返信3,706件、リポスト324件Hirsch氏の返信はいいね約17万件でした。比率はおよそ15倍です。これらはリアルタイムで増減する数字なので、時点を添えて読む必要があります。

アルトマン氏の投稿は編集も削除もされておらず、OpenAIからの訂正や追加声明も確認できませんでした。この件はTechCrunchも「Sam Altman is still making the case for parenting via ChatGPT」として記事にしています(日本時間8月2日2時7分)。

ChatGPT WorkはFreeとGoでは使えない

そもそも話題のChatGPT Workがどこまで使えるのかも確認しておきます。

OpenAIの公式リリースノート(7月9日)は「ChatGPT Workは、より長く、より込み入ったタスクのためのエージェントだ」と定義しています。公式ヘルプでは「Workは、より長く、複数ステップの作業と完成した成果物のために設計されたエージェントだ」という書き方です。

提供条件には段階があります。「ウェブとモバイルでは、WorkはFreeとGoを除く有料プランに順次展開している。Pro、Pro Lite、Enterprise、Eduの利用者が最初にアクセスでき、PlusとBusinessの利用者は今後数日のうちに続く。Workは対応するすべての地域で利用できる」

さらにEnterpriseとEduには追加の条件があります。「ウェブとモバイルでは、EnterpriseとEduのワークスペースには2週間のプレビュー期間がある。プレビュー中Workは既定でオフになっており、管理者はプレビュー終了時に自動的にオンになる前にオプトアウトできる」

料金体系は単独では示されていません。公式ヘルプは「WorkはCodexと同じ利用構造に従う。Codexの料金ページに含まれる利用量と追加クレジットが説明されているが、その例はコーディング作業に基づいているため、Workの利用量はタスクによって異なる」としています。日本個別の提供状況・日本語対応・価格の記載は公表されていません。

所感:反発の量が示したのは、機能の是非とは別のこと

数字の差が大きかったので、機能への評価だと読みそうになりました。でも返信の中身は「ただお子さんと話したらどうでしょう」で、ChatGPT Workの性能にも料金にも触れていません。批判されたのは道具ではなく、その道具を何に使うと提案したかのほうだと思います。

もう1つ気づいたのは、これが公式の発表ではないことです。伝聞で紹介された一例が、公式ヘルプにも書かれていない手順のまま15万いいねの反発を集めました。CEOの個人アカウントの投稿が製品の印象になってしまう構図は、使う側からも覚えておいたほうがよさそうです。

⑦GoogleがAI Studioのスマホアプリを中止、事前予約は約80万件(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日、Google AI Studioの公式アカウントが、5月に予告していたスマートフォンアプリを出さないと表明しました。

「もう一つ別のアプリを落としてもらう代わりに」全く別の方針へ

投稿の全文を順に見ていきます。

まず、iOSとAndroidでモバイルアプリを事前予約した約80万人への謝意が示され、外出先でソフトウェアを作ることへの関心は明らかだと説明されています。原文には「〜」(およそ)が付いた概数で、確定値ではありません。

続く一文が今回の中止表明です。「もう一つ別のアプリをダウンロードしてもらう代わりに、私たちはまったく異なるアプローチを取ることにした:アプリが、Geminiとの日常会話の流れの中で自然に生まれてくる形だ」

実現の体制も書かれています。「私たちはGeminiアプリチームと協働して、それをモバイルとデスクトップで実現する」モバイルだけでなくデスクトップも対象である点は落としやすいところです。

なお中止されたアプリは、2026年5月のGoogle I/Oで予告されたものです。当時のGoogle公式ブログには「ネイティブのAndroid vibe codingサポート、Google Workspace連携、AI Studioモバイルアプリなどを導入する」本日より事前登録が可能なAI Studioアプリでは、ポケットから直接コードを反復し、ビルドをプレビューできる」と書かれていました。

公式ブログ側の表記は「事前登録(pre-registration)」で、今回の投稿の「事前予約(pre-ordered)」とは語が異なります。

ウェブ版は継続、ただし対象を絞った言い方になっている

ウェブ版の扱いにも触れられています。

原文は「アイデアからプロンプト、そしてビジネスへと進めたい人たちのために、私たちはAI Studioのウェブ体験への投資を続ける」です。無条件の全面継続ではなく、対象ユーザー像を絞った言い方になっています。

そして最後の一文が、いま分かっていることの限界を示しています。「チームはこれを形にすべく懸命に取り組んでいる。これについてはまた後日共有する」

つまりGeminiアプリでアプリ生成ができるようになる日付・時期・対象国は、いっさい示されていません。日本での提供時期・日本語対応・価格についても、投稿にも関連ページにも記載がありません。

投稿者は認証済みのGoogle AI Studio公式アカウントです。反応数はリアルタイムで変わるため、記事の根拠には採用していません。

所感:80万件の予約が、そのまま宙に浮いた形になっている

読んでいて落ち着かなかったのは、約80万件の事前予約に対する扱いです。感謝は述べられていますが、代わりに何がいつ来るのかは「また後日共有する」で終わっています。予約した人が次に何を待てばいいのかが、この投稿だけでは決まりません。

方針そのものは理解できます。アプリを増やすのではなく、すでに開いているGeminiの会話の中から作れるようにする、という考え方です。ただしその形が実際に触れるようになるまでは、AI Studioを使いたい人はウェブ版に戻ることになります。しかもそのウェブ版の説明が「ビジネスへ進めたい人向け」と絞られているのが、少し引っかかりました。

⑧OpenAIのCFOが10億ユーザーと社内Codex 99.8%を公表(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日0時、OpenAIが「Building abundant intelligence」を公開しました。著者はサラ・フライアー氏で、2024年6月にCFOとして就任したことが同社の公式発表で確認できます。

半年で1日のメッセージが約50%増、用途は約2倍

規模の数字がまとめて出ています。

「私たちのモデルはいま、10億人を超えるアクティブユーザーと200万を超える企業に届いている」。そのうえで利用の深まり方についてこう書かれています。「登録から6か月後、人々は毎日およそ50%多くのメッセージを送り、およそ2倍の種類の作業にChatGPTを使うようになる」

ChatGPT Workについては、知識労働者の仕事を、質問への回答から複雑な複数ステップ作業の完了へ進めるという位置づけです。原文では、この変化を「尋ねる」から「やる」へと表現しています。

企業内での広がり方も同じ形だとしています。1つのチーム、1つの業務から始まり、品質と経済性が改善するにつれて部門をまたいで広がっていく、という説明です。

Codexが社内の週次出力トークンの99.8%を占める

社内の数字がかなり踏み込んでいます。

「OpenAI全体で、Codexを通じたエージェント的な作業がいまや週次の出力トークンの99.8%を占めており、財務部門もエージェント的なツールを働き方の主要な部分にしたチームの1つだ」

自社のモデルが自社の効率化に使われた例も挙がっています。「私たちの技術チームと協働して、GPT-5.6 Solは私たちのモデルを提供するために使われる本番ソフトウェアの最適化を助け、エンドツーエンドの提供コストを20%削減した。また投機的デコーディングの改善も助け、トークン生成効率を15%以上高めた」

価格についても言及があります。「昨日、私たちはGPT-5.6 Lunaの価格を80%、GPT-5.6 Terraの価格を20%引き下げた。Lunaはいま100万入力トークンあたり0.20ドル、100万出力トークンあたり1.20ドル。Terraはそれぞれ2ドルと12ドルだ」。1ドル160円換算だと、Lunaは入力が約32円、出力が約192円になります。

「GPT-5.6 SolについてはFast modeが、知性を変えることなく、2倍の価格で標準処理の最大2.5倍の速度を提供する」とも書かれています。

ARC-AGI-3は13.3%から38.3%へ、モデルは変えていない

いちばん示唆的だったのはこの部分です。

「最近のベンチマーク分析では、保持された推論とコンテキスト管理の改善によって、公開されているARC-AGI-3タスクセットでのGPT-5.6 Solのスコアが13.3%から38.3%へ上がり、しかも出力トークンは6分の1で済んだ。モデルは変わっていない。周囲のシステムが変わったのだ」

フライアー氏は効率をモデル単体の話にしていません。「より良いルーティングはハードウェアを生産的に保つ。より賢いコンテキスト管理はエージェントが作業を繰り返すのを防ぐ。より強いツールとプロダクト設計は、タスクを完了するのに必要なステップ数を減らす」という説明です。

コストの測り方についても踏み込んでいます。顧客が欲しいのはトークンそのものではなく、問題解決やソフトウェアの出荷、契約レビュー、科学的な問いへの回答です。時間・再試行・監督・誤りまで含む、成果達成の総コストで測るべきだと説明しています。

投資判断の基準も列挙されています。ユーザーとワークロードの成長、企業のコミットメント、API消費、稼働率、収益、そしてモデルの能力と効率の進展を証拠にする、という書き方です。

所感:99.8%という数字を、自分の職場に当てはめて考えた

数字の中でいちばん止まったのは、Codexが社内の週次出力トークンの99.8%という部分です。トークン量の話なので「仕事の99.8%をAIがやっている」とは読めません。それでも、モデルを作っている会社の中では、出力の大半がすでにエージェント経由になっているということになります。

そのうえで自分に引き寄せると、参考になったのは「成功した成果のコスト」という測り方のほうでした。安いモデルで何度もやり直すより、高いモデルで一度で終わるほうが結果的に安いことがある、という考え方です。月額いくらかではなく、1つ終わらせるのにいくらかかったかで見直してみようと思いました。

⑨Windows責任者が品質改善4カ月を報告、AI統合を「より意図的に」(8月1日)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

日本時間8月1日3時5分、Windows Insider Blogに「Windows quality: an update on the commitment we made in March」が公開されました。著者はPavan Davuluri氏です。

3月の7項目のうちAIは「最も意味のあるところに統合する」

冒頭はこう始まります。「3月に私は、Windowsの品質へのコミットメントについてみなさんに書きました。4か月が経ち、チームと私は進捗を振り返り、最新の状況をお伝えしたいと思いました。私たちは、とくにこれらの改善をすべてのお客様に届けることについて、まだやるべきことがあると分かっています。私たちは減速しません」

3月に約束した項目は7つ挙げられています。タスクバーのカスタマイズ拡大最も意味のあるところへのAIの統合Windows Updateによる中断の削減より速く信頼できるファイルエクスプローラーウィジェットとフィード体験の制御強化よりシンプルで透明なWindows Insider ProgramフィードバックHubの改善です。

当初の重点分野はパフォーマンス、信頼性、丁寧に作られた体験の3つでした。

AIについての記述が今回の見どころだと思います。「5月に私たちは、受信トレイ系のアプリから始めて、OS全体のAIをどのように簡素化してきたかについて最新状況を共有しました。これは、WindowsにおけるAIをより意図的なものにし、お客様に最も価値を提供する体験に焦点を合わせるという、より広い転換の一部です」

つまり機能を増やすこと自体ではなく、価値の高い体験に焦点を合わせる方針だという説明です。なお、Davuluri氏の肩書きは3月の投稿の署名に「EVP, Windows + Devices」と記載されています。

今秋からWindows 11 PCへ、音声と家族が新たな重点に

展開の時期も示されました。「これらの改善の多くは、ここ数か月Windows Insiderへ順次展開されてきており、この秋からWindows 11 PC全体へより広く展開が始まります」

これまでの成果としては、7月に始まったWindows検索ボックスの改善(落ち着いたホーム画面、明確な結果、ウェブ結果からの宣伝コンテンツの除去)、5月に始まったタスクバーとスタートの変更、ファイルエクスプローラーの応答性と信頼性の改善、4月からのWindows Updateの中断削減などが列挙されています。

信頼性の面では、5月に始めたドライバー品質イニシアチブ(DQI)のほか、USB4のドッキング性能の改善、AirPodsのようなBluetooth機器との互換性向上、ネットワーク内のプリンター検出失敗の削減が挙がりました。Windows Helloの顔・指紋によるサインインの信頼性向上にも触れられています。

そして年末までの計画として、当初の重点分野に加えて4つの新しい領域が示されました。オンボーディングとセットアップ(より速く効率的な初期設定)、8GB以上向けのメモリ最適化(Windowsのメモリ使用量の削減)、ファミリー(保護者向け機能へのアクセスの容易化)、そして音声(日常的に使うアプリをまたいだ、より自然で流暢な音声操作)です。

所感:AIを足す数より、置き場所に焦点を移している

この投稿でいちばん目立つのは、AIについての記述が「より意図的にする」「焦点を合わせる」という言葉で書かれていることでした。これはAI機能を一律に減らすという表明ではありません。7項目の中でもAI統合は1項目にすぎず、残りはメモリ、プリンター、Bluetooth、起動時間といった地味な話が占めています。

そのうえで新しい重点に「音声」が入ったのは、方向が変わったというより置き場所を変えたのだと読めます。専用の入り口にまとめるのではなく、日常のアプリの中で話せるようにする形です。この秋からWindows 11 PC全体へとある以上、Insiderに参加していない人にも順に届きます。

⑩Google GeminiのGitHubに「Glanceboard」公開(8月1日確認)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

8月1日時点で、Google Geminiの公式GitHub組織に「Glanceboard」のコードが公開されています。家族の予定と天気から日次プランナーの画像を作り、カラー電子ペーパーへ表示するデモです。

ただしREADMEには「This is not an official Google product」と明記されています。GoogleのGitHub組織にあるオープンソースのデモですが、Googleの正式製品やサポート対象サービスとして紹介するのは正確ではありません。

カレンダーと天気から、日次プランナーの絵を生成する

リポジトリによると、GlanceboardはGemini 3.6 FlashとNano Bananaを使って作られています。iCal形式のURLからカレンダー予定を読み、現在地の天気を取得し、登場人物のためのプロンプトを組み立て、日次プランナーの画像を生成します。その画像を6色電子ペーパー向けにディザリングし、ディスプレイへ配信する流れです。

READMEは狙いを「画面はない。通知もない。ただ、今日何が起きるかを知らせてくれる静かな額縁があるだけだ」と表現しています。ディスプレイ側がローカルサーバーから新しい画像を取りに行く構成なので、家庭内の表示端末としては通知の多いスマートフォンと役割が異なります。

機能としては、6つの画風(ペン画、ファッションスケッチ、水彩、ピクセルアート、コミック、日本の水墨画)、参照写真による人物・ペットの一貫性維持スポーツのスコア・株価・ニュース・天気などのウィジェット誕生日や旅行を見つけるカウントダウンなどが挙げられています。

必要なのは電子ペーパーとPC、はんだ付けは不要

コードはgoogle-gemini/glanceboardとして公開され、ライセンスはApache-2.0です。

必要なものはリポジトリに表で示されています。Waveshare ESP32-S3 PhotoPainter(木製フレーム入り・WiFi内蔵の7.3インチカラー電子ペーパー)、USB-CケーブルPCまたはRaspberry PiPython 3.9以上Node.js 18以上です。

リポジトリには「はんだ付けは不要。リボンケーブルもなし。ディスプレイ1枚とサーバーだけ」と書かれています。設定や画像配信のサーバーを手元のPCやRaspberry Piで動かす点は、再現しやすさにつながっています。

ローカル運用でも、画像生成はGemini APIを使う

重要なのは、ローカルサーバーで動くことと、データがローカルだけで処理されることは同じではない点です。セットアップにはGoogle AI StudioのGemini APIキーとGoogle Cloudプロジェクトが必要で、アーキテクチャ図でもAI ProviderとしてGemini APIが示されています。

したがって、表示端末はローカルサーバーから画像を取得しますが、画像生成のリクエストはGemini APIへ送られます。構成上、カレンダーから組み立てたプロンプトや、利用する場合の参照画像がAPI処理の対象になりえます。READMEの「クラウドアカウント不要」という表示端末側の説明だけを見て、家族の予定や写真がクラウドへ送られない仕組みだと受け取るのは誤りです。

所感:静かな表示は魅力だが、プライバシーは別に確認が必要

明るい画面や通知を電子ペーパーへ置き換える発想は、この用途に合っています。一方、家族の予定や参照写真を扱うなら、APIへ渡す情報を最小限にし、利用するサービスのデータ取扱条件も確認したほうがよいでしょう。

また、これは正式なGoogle製品ではなく、サポートの約束もありません。必要なハードウェアを自分で用意し、APIキーやサーバーを管理できる人向けのデモとして読むのが適切です。

10本を貫く流れ:EU AI法の1500万ユーロと、AIに何をさせるかの線引き

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

今回の10本を並べて見えてくるのは、AIが作ったものをどう扱うかという問いが、方針の段階から「守らないと制裁金」の段階へ移ったことです。

その中心が①です。EU AI法の第50条が8月2日に適用開始となり、対象となる生成AIの提供者はAIとの対話を明示し、対象となる生成物に機械可読マークを付けることを求められるようになりました。事業者に対する制裁金の上限は1500万ユーロまたは全世界売上高の3%の、いずれか高いほうです。

その前日に事業者側の答えを出したのが③でした。OpenAIは来歴表示を画像から音声へ広げると公表しています。ただし音声で効くのはSynthIDの透かしだけで、C2PAのメタデータは画像のみ。テキストは「標準とツールの成熟に合わせて」取り組み中のままです。

その反対側にあるのが④と⑤です。xAIはGrok Imagine Video 1.5で、参照を最大7点まで渡して全シーンで同じ顔・同じ声を保てるようにしました。同じ日、他人の写真を脱がせる加工を禁じる全米初の法律がミネソタ州で施行され、xAIの差し止め請求は却下されています。作れる幅が広がる動きと、作れる範囲を法で狭める動きが、同じ日に別々に進んでいました

②はこの問いを、画像や音声ではない場所で扱っています。OpenAIは数学と理論計算機科学の10問に新結果を提示し、AIが完全に生成した証明について人間の著作を主張することは偽りになると書きました。ただし結果はOpenAIの公表段階で、独立検証や査読を経て広く確定したとまでは確認できません。誰が作ったのかを残すという①と同じ問いが、学術の場では著者の書き方として現れています

⑥と⑩は、同じ発想でも置き換える対象が違う例でした。どちらも家族のカレンダーをAIに読ませて、子どものために朝ひとつ何かを作る話です。⑥のアルトマン氏の投稿には「子どもと話せばいいのでは」という返信が付き、8月2日朝の同時取得で元投稿のおよそ15倍のいいねを集めました。⑩のGlanceboardは、明るい画面と通知を静かな額縁に置き換える設計です。

⑦と⑨は、配置を見直す判断です。GoogleはAI Studioの単独スマホアプリを、約80万件の事前予約がありながら出さないと決めました。MicrosoftはWindowsのAIを「より意図的なものにし、最も価値を提供する体験に焦点を合わせる」と書いています。MicrosoftはAI機能を一律に減らすとは述べておらず、価値の高い場所へ焦点を移す方針です。

そして⑧が、その全体の規模を示しています。10億人を超えるアクティブユーザー、200万を超える企業、そして社内では週次の出力トークンの99.8%がCodex経由。ここまで広がったからこそ、①のような義務が動き出したのだと読めます。

まとめ:EU AI法の第50条からAstraの数学10問まで、8月2日の要点

最後に、この記事の要点を整理します。

  • EU AI法の第50条(透明性義務)が日本時間8月2日に適用開始。欧州委員会の公式ページに「Article 50 of the AI Act applies from 2 August 2026」と明記。提供者は利用者がAIと直接やりとりしていることを明示的に知らせる設計にし、AI生成・加工コンテンツに機械可読マークを付ける義務を負う
  • 導入者が開示すべきなのは、感情認識・生体分類ツール、ディープフェイク、人間のレビューや編集責任を経ていない公共的関心事に関するAI生成テキストの3類型。事業者に対する制裁金の上限は1500万ユーロまたは前会計年度の全世界売上高の3%のいずれか高いほう。中小企業は各制裁金について、定額と売上高比率のいずれか低いほうが上限
  • ただし執行は主として加盟国の市場監視当局が担い、AI Officeの役割は条件付きで限定的。猶予は8月2日より前に市場投入されたシステムのマーキング・検出義務のみで12月2日から適用。8月2日より前に生成されたコンテンツの遡及ラベリングは不要
  • 行動規範には約190団体が署名(提供者向け83、導入者向け152)。署名例にAnthropic、Google、Meta、Microsoft、Mistral、OpenAIなど。ただし行動規範は任意で、署名しない事業者は代替の同等手段で遵守を立証する必要がある。高リスクAIはAnnex Iが2028年8月2日、Annex IIIが2027年12月2日へ延期
  • OpenAIが日本時間8月1日9時、数学と理論計算機科学の未解決10問に新結果を公開。10年以上(多くはそれよりはるかに長く)進展がなかった問題が対象で、高次元幾何・符号理論・算術回路計算量・群論・作用素環論・量子計算量・格子暗号・極値組合せ論の8分野にまたがる
  • 使われたのは「次の主要モデルであるAstraの内部バージョン」で、Astraは記事時点で製品として未発表。必要なトークンの総数はSolのAPI料金でおよそ2,000ドル(約32万円)相当。議論はモデルが生成し、人間が同じモデルで原稿にまとめ、そのあとモデルがLeanで形式化した
  • OpenAIは著者性について「AIシステムが完全に生成した証明について人間の著作を主張することは、システムの貢献と、真に人間的な知的作業の性質の両方を偽ることになる」と明記。原稿準備とLean形式化は自分たちが行い正しさの責任は負うが、数学的な議論そのものはシステムが生成したと切り分けた
  • OpenAIが日本時間8月1日0時、EU向けに「Advancing responsible AI across Europe」を公開。来歴表示を画像に加え音声へ拡大。ただし音声で効くのはSynthID透かしのみでC2PAメタデータは画像限定。テキストは「標準とツールが成熟を続けるのに合わせて」取り組み中
  • 検証ツールは「他のAIサービスで生成されたコンテンツを検出するようには設計されていない」と明記。カバー範囲も製品・モデル・書き出し経路・ファイル形式・生成時期によって異なるとされ、一貫して「対応する(supported)」という限定が付く
  • xAIが日本時間8月1日、Grok Imagine Video 1.5に画像・音声リファレンスとネイティブ1080pを追加。参照は1回の生成につき最大7点で、各参照画像が顔・商品・場所を1つずつ固定。キャラクター画像とボイスリファレンスを渡すと全シーンで同じ顔・同じ声になるとされる
  • ただし参照機能は「本日より米国内でSuperGrok HeavyとSuperGrok Plus向けに、grok.com/imagineとiOSで開始」で、Androidは含まれない。「全ティアへ展開」はプラン区分の拡大を示し、地域拡大の言及はない。APIの料金は公式ドキュメント側にあり、1080pが1秒あたり0.25ドル(約40円)、720pが0.14ドル、480pが0.08ドル。なお7月31日のニュースと6月18日更新のReference-to-Video文書には不整合が残る
  • 米ミネソタ州の「AIヌード化」禁止法が8月1日に施行。全米初とされる。xAIによる緊急差し止め請求は連邦地裁が現地7月31日に却下したが、理由は「法律の署名から約3か月後、施行のわずか3日前の申立て」という緊急性の欠如で、中身の判断ではない。予備的差止命令の審尋は8月19日
  • 同法はサイト・アプリ・ソフトの所有者・管理者が利用者に他人の画像をヌード化させることと、ヌード化機能の広告を禁止。ただし写実性の要件に加え、利用者がヌード化するために「技術的技能」を必要とするサービスには禁止を適用しない例外がある。民事制裁金は不正なアクセス・ダウンロード・使用1件あたり最大50万ドル(約8,000万円)で、この州法に刑事罰はない
  • OpenAIのサム・アルトマンCEOが日本時間8月1日1時1分、ChatGPT Workで「家族のカレンダーをつないで子ども向けの朝のポッドキャストを作らせる」使い方をXに投稿。原文に「昨夜聞いた」とあり、OpenAIの発表ではなく伝聞の紹介。公式ヘルプとリリースノートにカレンダー・ポッドキャストの記載はない
  • 『Gravity Falls』制作者のAlex Hirsch氏による「もし、ただお子さんと話したらどうでしょう」という返信は、8月2日9時43分時点でいいね約17万件。元投稿は約1.1万件で、比率はおよそ15倍。なおChatGPT WorkはFreeとGoでは使えず、Pro・Pro Lite・Enterprise・Eduが先行、Plus・Businessは後日
  • GoogleのAI Studio公式アカウントが日本時間8月1日、約80万件の事前予約があったスマホアプリを出さないと表明。「もう一つ別のアプリをダウンロードしてもらう代わりに、まったく異なるアプローチを取ることにした:アプリが、Geminiとの日常会話の流れの中で自然に生まれてくる形だ」
  • Geminiアプリチームと協働してモバイルとデスクトップの両方で実現するとしているが、時期・対象国は「また後日共有する」のみで未公表。AI Studioのウェブ版は継続だが「アイデアからプロンプト、そしてビジネスへと進めたい人たちのために」と対象を絞った書き方
  • OpenAIのサラ・フライアーCFOが日本時間8月1日0時に「Building abundant intelligence」を公開。モデルは10億人超のアクティブユーザーと200万超の企業に到達し、登録から6か月後には1日あたり約50%多くのメッセージ、約2倍の種類の作業に使われるようになるとした
  • 社内ではCodex経由のエージェント的作業が週次出力トークンの99.8%を占める。GPT-5.6 Solが本番ソフトウェアの最適化を助けエンドツーエンドの提供コストを20%削減、投機的デコーディングでトークン生成効率を15%以上改善。ARC-AGI-3のスコアは13.3%から38.3%へ上がったが「モデルは変わっていない。周囲のシステムが変わった」
  • MicrosoftのPavan Davuluri氏が日本時間8月1日3時5分、3月に宣言したWindows品質改善の4か月報告を公開。AIについては「WindowsにおけるAIをより意図的なものにし、お客様に最も価値を提供する体験に焦点を合わせる、より広い転換の一部」と説明。一律の削減ではなく、重点を移す方針
  • これらの改善は「この秋からWindows 11 PC全体へより広く展開が始まる」。年末までの新たな重点領域として、オンボーディングとセットアップ、8GB以上向けのメモリ最適化、ファミリー、音声の4つを追加。Davuluri氏の肩書きは3月投稿の署名に「EVP, Windows + Devices」と記載
  • Google Geminiの公式GitHub組織に、Gemini 3.6 FlashとNano Bananaを使う家庭用ダッシュボード「Glanceboard」のコードが公開。READMEには「This is not an official Google product」と明記され、正式なGoogle製品ではない
  • コードはgoogle-gemini/glanceboardとしてApache-2.0ライセンスで公開。電子ペーパー、PCまたはRaspberry Pi、Python 3.9以上、Node.js 18以上などが必要。表示配信はローカルサーバーで行うが、画像生成にはGemini APIキーとGoogle Cloudプロジェクトが必要で、ローカルだけで処理が完結する設計ではない

対象となるAI生成物に、誰が作ったのかを機械が読める形で刻む義務が始まった日でした。あなたが今日AIで作ったものには、何の印が付いているでしょうか。

よくある質問(FAQ)

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

Q1. EU AI法の透明性義務は、日本にいる自分にも関係がありますか?

A. 日本国内だけで完結する一般的な利用が直ちに対象になるわけではありませんが、日本企業でも対象になりえます。公式FAQには「EU域外に設立または所在するAIシステムの提供者も、そのAIシステムの出力がEU域内で使用される場合には、AI法の規定の対象となる」とあり、EU域内に顧客がいる場合や、EUで使われるAIシステムを提供する場合は関係します。加えてChatGPTやGeminiのようなグローバルサービスがEU向け対応を広く実装すれば、日本の利用画面にも機械可読マークが反映される可能性があります。日本語対応や日本での価格について、①③の発表には記載がありませんでした。

Q2. OpenAIが数学など10問に新結果を出したことは、AIが数学者を置き換えたという意味ですか?

A. そうは読めません。理由は3つあります。第一に、OpenAI自身が役割を分けて書いています「私たちは原稿の準備とLeanでの証明の形式化を手伝い、その正しさについて責任を負う。一方で、数学的な議論そのものは私たちのシステムが生成した」という記述で、人間が関与した部分が明示されています。第二に、検証はこれからです。OpenAIは数学コミュニティが結果を検討し、文脈の中に位置づけることを期待すると書いており、独立検証や査読を経て広く確定したとまでは確認できません。第三に、約2,000ドルは解を見つけるために必要だった総トークンをSolのAPI料金で換算した数字で、研究全体の人件費や検証費、第三者が再現できる費用を示すものではありません。注目すべきなのは、OpenAIがAI生成の証明を人間の著作として主張しないという線を引いたことです。

Q3. Grok Imagineの新機能は、日本からも使えますか?

A. 機能によって分かれます。画像・音声リファレンスは米国先行で、公式には「本日より米国内でSuperGrok HeavyとSuperGrok Plus向けに、grok.com/imagineとiOSで開始し、今後数日のうちに全ティアへ展開する」と書かれています。「全ティアへ展開」はプラン区分の拡大を示す表現で、国や地域の拡大ではありません。発表ページに日本への言及はなく、Androidも参照機能の開始対象に含まれていません。一方、テキストから動画への生成とネイティブ1080pはgrok.com、iOS、Androidで一般提供とされています。APIについては7月31日のニュースページが画像リファレンス等の稼働を案内していますが、6月18日更新のReference-to-Video文書には1.5非対応という古い記載が残ります。利用前に実際のAPI対応を確認するのが安全です。

筆者より

今回いちばん考えさせられたのは、⑥と⑩が同じ日に出てきたことでした。

どちらも家族のカレンダーをAIに読ませて、子どものために朝ひとつ何かを作る話です。片方は毎朝のポッドキャスト、もう片方は電子ペーパーに映る一枚のイラスト。着想はほとんど同じなのに、片方には「ただお子さんと話したらどうでしょう」という返信が付いて、元投稿の約15倍のいいねを集めました。

違いは、何の代わりに置こうとしたかだと思います。⑥が代わりに置こうとしたのは、親が子どもに話しかける時間でした。⑩が置き換えたのは、朝、明るい画面を見て通知に急かされる時間です。同じ道具でも、何をやめるために使うのかで受け取られ方が変わる。これは自分がAIを使うときにも効く物差しだと感じました。

そしてこの2日は、①でEUが対象となるAI生成物に機械可読マークを付けることを法的義務にし、②でOpenAIが「AIが書いた証明を人間の著作とは呼ばない」と書いた日でもありました。作ったものに誰が作ったかを残すという点では、法律も学術も同じ方向を向いています。

その一方で、④のように顔と声を固定して量産できる機能も同じ日に出ています。制度と技術は並んで進んでいて、しかも同じ速さではありません。どちらが正しいかを決める前に、いま自分が使っているものにどんな印が付いていて、どこから付かないのかを知っておく。当面はそこが実用的な出発点になりそうです。

事実関係の誤りや新しい情報にお気づきの点があれば、コメント欄で教えてください。

参考資料

  • 欧州委員会 Shaping Europe’s digital future「Guidelines on transparency of AI-generated content」/同「Transparency obligations under Article 50 AI Act(FAQ)」/AI Act Service Desk「Article 99: Fines」/同「Strong backing for the Code of Practice on Transparency of AI-generated Content」/同「AI Omnibus enters into force」
  • OpenAI公式「Ten advances in mathematics and theoretical computer science」(2026年8月1日/Publication)/OpenAI公式ニュースRSS
  • OpenAI公式「Advancing responsible AI across Europe」(現地表示2026年7月31日/日本語版「欧州全域で責任ある AI を推進」)/OpenAIヘルプセンターの来歴シグナル対応表および検証ツールのページ
  • xAI公式「Imagine Video 1.5 with References」(x.ai/news/現地表示2026年7月31日)/xAI公式ドキュメント docs.x.ai の料金表およびReference-to-Videoページ
  • Minnesota Session Laws 2026, Chapter 72/NBC News「Judge denies request from Elon Musk’s xAI to block Minnesota nudification ban」(現地表示2026年7月31日)/米連邦地裁ミネソタ地区 Donovan Frank判事の命令からの引用部分
  • サム・アルトマン氏(@sama)のX投稿(2026年7月31日16時1分UTC)およびAlex Hirsch氏(@_AlexHirsch)の返信/OpenAI公式ChatGPTリリースノート2026年7月9日「Introducing ChatGPT Work」/OpenAI公式ヘルプ「ChatGPT Work and Codex」
  • Google AI Studio公式アカウント(@GoogleAIStudio)のX投稿(2026年8月1日)/Google公式ブログ(2026年5月19日/AI Studioモバイルアプリの事前登録告知)
  • OpenAI公式「Building abundant intelligence」(サラ・フライアー/現地表示2026年7月31日)/OpenAI公式「OpenAI welcomes Sarah Friar (CFO) and Kevin Weil (CPO)」(2024年6月10日)
  • Windows Insider Blog「Windows quality: an update on the commitment we made in March」(Pavan Davuluri/現地表示2026年7月31日)/同ブログ2026年3月20日「Our commitment to Windows quality」の署名
  • GitHub リポジトリ google-gemini/glanceboard(Apache-2.0ライセンス・README・セットアップ・アーキテクチャ・免責表示)
  • ⑥の追随報道としてTechCrunch「Sam Altman is still making the case for parenting via ChatGPT」(Anthony Ha/2026年8月1日17時7分UTC)

※本記事は執筆時点(2026年8月2日)の情報です。円換算は1ドル160円で計算した概算です。ユーロ建ての金額は換算していません。見出しの日付は日本時間で表記し、現地表示日と異なる場合は本文に併記しています。本文中の過去の日付は各社・各機関の現地表示日を使っています。
※⑤のミネソタ州法をめぐる訴訟は継続中です。7月31日の却下は緊急性の欠如を理由とするもので、法律の合憲性についての判断ではありません。予備的差止命令を認めるかどうかの審尋は8月19日に予定されており、報道は「裁判所は後の時点で法律を停止させることもできる」としています。
※②の「Astra」は記事執筆時点で製品として発表されておらず、性能・提供時期・価格はいずれも公表されていません。④のGrok Imagine Video 1.5の画像・音声リファレンスは米国先行で、日本での提供に関する公表はありません。⑦のGeminiアプリでのアプリ生成、⑨のWindows 11への一般展開は、いずれも具体的な日付が公表されていません。最新情報は各社・各機関の公式発表をご確認ください。
※⑥のいいね数・返信数は2026年8月2日9時43分時点の実測値を丸めたものです。これらの数字はリアルタイムで増減します。
※⑩のGlanceboardはGoogle GeminiのGitHub組織で公開されていますが、READMEは正式なGoogle製品ではないと明記しています。表示配信はローカルサーバーで行う一方、画像生成にはGemini APIキーとGoogle Cloudプロジェクトが必要です。
※本記事について、事実関係の誤りや最新情報の追加などお気づきの点がございましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。

AIニュース10選【8/2】EU AI法、OpenAIの数学10問、Grok動画ほか

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