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みなづち
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AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか
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みなづちです。

2026年8月1日時点で押さえておきたいAIニュースを、重要度順に10件まとめました。

今回は、AIが作ったものを「AI製だ」と示す仕組みがこの2日で複数動いたこといったん出した機能を約30時間で引っ込めた判断、そしてAIの学習に対価を求める判決が欧州で出たことが大きなテーマです。

本記事では、以下のポイントから解説します。

  • 全世界に公開した機能が、約30時間で消えた話
  • あなたのChromeの更新が増える理由と、AIが見つけた13年超の穴
  • ChatGPTの音声に「AI製」の目印が入ったこと
  • 詐欺グループがChatGPTを何に使っていたのか
  • AI作曲サービスが、特定6曲の学習と「モデルへの記憶」を著作権侵害と判断されたこと(判決は未確定)

なお本日は、日本時間7月31日から8月1日にかけての発表・公開から選んでいます。見出しの日付はすべて日本時間で、現地表示日と異なる場合は本文に併記しました。本文中の過去の日付は各社の現地表示日を使っています。ドル建ての金額は1ドル160円で換算しています。

目次

Google Earthが30時間で撤回、ChatGPTは音声に透かし。まとめ10選の結論

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

まず結論からお伝えすると、AIが作ったものを「これはAI製だ」と示したり、見分けたり、引っ込めたりする仕組みが、この2日で複数動いたのが今回の特徴でした。

日本時間8月1日未明、GoogleはGoogle Earthに載せたばかりの画像生成機能を撤回しました。公開から約30時間です。理由として挙げられたのは「ポリシーに違反すると見られる生成画像のスクリーンショットを人々が共有しているのも目にした」ことでした。

同じころOpenAIは、ChatGPT Voiceが生成した音声にSynthIDの電子透かしを入れると公表しました。画像から音声へ対象を広げた形で、公開されている検証ツールも音声に対応しています。

Snapchatも丸ごとAIで作った動画を「Spotlight」のおすすめ対象から外すと発表しました。禁止ではなく、推薦しないという措置です。

一方、GoogleはChromeのセキュリティ更新の頻度を上げる方針を示し、その文脈でGeminiを使った仕組みが13年以上コードに潜んでいた欠陥を見つけたと公表しています。そしてドイツでは、AI作曲サービスのSunoが著作権をめぐる訴訟で敗れました

筆者の視点:Google Earthの撤回とSuno判決に共通する問い

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

僕自身、今回のニュースを追う中で考えたことがあります。

透かしは消えていない。誰も確認しないことが問題だった

いちばん引っかかったのは①です。Googleの撤回文を読んで、判断の重さが分かりました。

この機能、実は安全側の設計はしてあったのです。撤回文にはこう書かれています。「生成された画像はGoogle Earthのメインの体験に他の人が見られる形では表示されず、AI生成としてウォーターマークが付いていたことは重要な点だ」

しかもその透かしは、③で出てくるSynthIDと同じものでした。Googleは公式声明で「Google EarthのNano Bananaで作られた画像はすべてSynthIDのデジタル透かしを含む」とし、画像に確信が持てなければGeminiアプリやSearchのレンズで確認できると説明しています。

つまりスクリーンショットを撮っても、透かし自体は消えません。それでも撤回されました。

問題は別のところにあります。404 MediaのJoseph Cox氏は、Googleの説明を「透かしでAI生成だと識別できるというGoogleの説明は、誤情報の広がり方をまるで分かっていない」と批判しました。拡散した画像を受け取った人が、わざわざ確認しない。ここが今回の教訓だと思います。

撤回文の冒頭にはこうあります。「Google Earthが世界を信頼できる形で映すものだと、人々が特別に信頼していることを我々は知っている」。守りにいったのは機能ではなく、その信頼のほうでした。

Sunoの判決で決め手になったのは「記憶」だった

もう1つは⑤です。生成AIの学習は著作権侵害かという問いに、ドイツの裁判所が答えを出しました。

裁判所は「米国での学習時の複製」と「ドイツ国内のモデル内複製および出力での再生」の両方を認容の根拠に挙げています。そのうえで、学習時の複製が米国法のフェアユースで免責されない理由として決め手にしたのが「Memorisierung(記憶)」でした。

つまり学習データがモデルの中に再現可能な形で残り、単純なプロンプトで原曲に近い出力が復元できたという技術的な事実です。

裁判所が示したプロンプトの条件も具体的でした。入力されたのは原曲の歌詞・希望する音楽スタイル・曲名だけで、「メロディ・ハーモニー・リズム、編曲に関する指定は含まれていなかった」とされています。それでも原曲が出てくるなら、責任を負うのは利用者ではなく提供者だ、という筋道です。

「解析したか」ではなく「取り込まれて出てくるか」。この線引きは、日本で情報解析のための利用を扱う議論にもそのまま効いてくると思います。

AIが13年見つけられなかった穴を見つけ、AIが詐欺の事務を助けていた

3つ目は②と④です。同じ7月31日に、AIの使われ方として正反対の事例が並びました。

②では、GoogleがGeminiを使ったエージェントの仕組みで、13年以上コードベースに潜んでいたサンドボックス脱出の欠陥を見つけたと公表しています。人間のレビューとファジングをすり抜け続けた穴でした。

④では、OpenAIがカンボジアを拠点とする詐欺ネットワークがChatGPTを使っていたと公表しました。用途は偽ペルソナの作成、標的へのメッセージ生成と翻訳、そして利用者の一部については、社内通達の起草や採用・労働条件に「関係すると見られる」文書の作成にまで及んでいます。

同じ道具が、13年分の見落としを埋めるのにも、詐欺組織の事務を助けるのにも使われている。どちらか一方だけを見て語れる段階は、もう過ぎたのだと思います。

①Google EarthのNano Banana画像生成、約30時間で撤回(8月1日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

1本目は、全世界に公開した機能が約30時間で消えた話です。昨日この機能を紹介したばかりなので、続報としてお伝えします。

撤回文は「Google Earthへの信頼」から書き起こされている

Googleは公式ブログに撤回の追記を入れました。ページの更新時刻は日本時間8月1日3時29分で、声明自体は同日未明にX上で先に公表されています。逐語はこうです。

「更新、7/31:Google Earthが世界を信頼できる形で映すものだと、人々が特別に信頼していることを我々は知っている。地理空間の専門家がこの機能をさまざまな有用な目的で使っているのを見てきた一方で、我々のポリシーに違反すると見られる生成画像のスクリーンショットを人々が共有しているのも目にした。そこで、より強力なガードレールの実装に取り組む間、Google Earthのこの機能を巻き戻す」

同じ追記には、擁護にあたる一文も添えられています。「生成された画像はGoogle Earthのメインの体験に他の人が見られる形では表示されず、AI生成としてウォーターマークが付いていたことは重要な点だ」

元の記事が公開されたのは日本時間7月30日21時30分でした。ブログに撤回の追記が入ったのが8月1日3時29分なので、公開から約30時間です。ただし機能が実際に停止した時刻や地域別の停止範囲について、Googleの公表はありません

なお表記について補足します。元記事の冒頭は「Nano Banana 2の画像生成機能」とバージョン番号付きで書き、提供範囲を述べた文では「Nano Banana」と短縮しています。海外メディアも日本語メディアも「Nano Banana 2」と表記しており、実体はNano Banana 2です。

何ができた機能で、日本でも使えたのか

撤回された機能の中身も確認しておきます。元記事の説明はこうでした。「初めて、Google Earthの衛星画像・航空写真・3D画像を、実世界に根ざしたコンセプトを生成するNano Bananaとともに使って、カスタム画像を生成できるようになった」

操作は単純で、「ウェブ版のGoogle Earthで場所をズームインし、『create image』をタップして、見たいものを何でも入力するだけ」とされていました。

提供範囲の逐語は「Nano Bananaによる画像生成は、本日より全世界のGoogle Earthウェブ版の利用者が利用できる」です。日本を名指しした記述はありませんが、日本語メディアのケータイWatchが「日本を含む全世界のユーザー向けに展開されている」と報じており、日本でも使えていた可能性が高い状況でした。

公式が挙げた用途例には東京も入っています。「東京のこの空き地を、開けた空間のある活気ある商業・小売地区として想像し直して」という不動産・都市計画向けの例です。

再開時期は未定、撤回のきっかけは報道で説明が分かれる

現時点で分かっていないことを整理します。

  • 再開時期:撤回文は「より強力なガードレールの実装に取り組む間」とするのみで、時期の記載はありません。恒久的な廃止とも書かれていません
  • 停止の範囲と時刻:地域別の停止範囲・停止時刻についてGoogleの公表はありません
  • 価格:元記事に価格・課金・回数制限の記載は一切ありませんでした
  • 日本語対応:日本語UI・日本語プロンプトの可否は元記事に記載がありません

撤回のきっかけについては、報道によって説明が分かれます。Engadgetは404 Media(記者のJoseph Cox氏)が実際にロサンゼルスに爆発跡のクレーターを生成してみせた検証を挙げています。

NPRは最初に危険性を書いたのはオープンソース調査者のHenk van Ess氏だとし、TechCrunchは404 Mediaに触れずBBC記者のX投稿など「批判者」を挙げるにとどまります。いずれもGoogleの公式説明ではありません

所感:約30時間で引っ込めた速さと、再開時期が空白のままなこと

外部の指摘を受けてから約30時間で巻き戻した判断の速さは、評価していいと思います。ただ引っかかるのは、その後です。

撤回文は「より強力なガードレールの実装に取り組む間」としか書いておらず、再開の時期がありません。停止した範囲も時刻も公表されていません。

Googleが撤回文の中で名前を出した「地理空間の専門家」、つまり都市計画や不動産の実務でこれを使い始めた人たちは、いつ戻るか分からないまま道具を失いました。出すのが速い会社は、引っ込めるのも速い。その両方を前提に道具を選ぶしかないのだと感じます。

②Chromeが更新の週2回を試験導入、Geminiが脆弱性を発見(7月31日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

2本目は、ほぼすべての読者に関係する話です。ブラウザの更新頻度が上がる方向に動いています。

あわせて読みたい
Chromeの脆弱性1,072件をAIで修正。数え直したら10件合わなかった みなづちです。 2026年7月30日、GoogleがChromeの公式セキュリティブログに1本の記事を公開しました。タイトルは「Stronger with every update: How we're making Chrom...

直近2バージョンで1072件を修正、それ以前23回分の合計を上回った

Googleは日本時間7月31日2時(現地表示7月30日)、Chromeのセキュリティに関する記事を公開しました。数字が目を引きます。

逐語はこうです。「直近の2つのマイルストーンであるChrome 149と150で、我々は1072件のセキュリティバグを修正した。これはそれ以前の23マイルストーンの合計を上回る」

なぜ急増したのか。記事はAIの導入を挙げています。「2026年初め、我々はGeminiを使ってChromeのコードベース全体をより高い効率と低い誤検知で脆弱性発見するエージェントハーネスを構築した」

見つかったものの中に、印象的な1件があります。「我々が見つけたバグの1つは、侵害されたレンダラーがブラウザを騙してローカルファイルを読ませることを許すサンドボックス脱出で、13年以上にわたって我々のコードベースに静かに生き延びていた欠陥だった」

ここは誤読しやすいので限定を書いておきます。1072件を修正した主体はChromeチームであり、AIが全件を発見したわけではありません。記事はAIの関与を「大半の脆弱性で修正案をLLMが生成している」と書く一方、従来のファジングも「特に効果的であり続けている」としています。

「週2回」は決定ではなく試験導入、3つの頻度が別物

更新頻度についても、原文は3つを書き分けています。混同しやすいので分けます。

  • メジャーマイルストーン:2週間ごとへ移行中(原文「We are in the process of transitioning to a two-week cadence for major Chrome milestones」)
  • 通常のセキュリティ更新:週1回へ移行中(同じ文の「with weekly security updates」)
  • 週2回のセキュリティリリース試験導入中(原文「we are piloting a shift to two security releases per week」)

つまり「Chromeの更新が週2回になる」は決定事項ではありません。対象もメジャー更新ではなくセキュリティリリースで、開始時期・対象プラットフォーム・全利用者への適用可否はいずれも記載がありません。

再起動が不要になる「動的パッチ」についても、原文は「投資している」とし、「この機能を研究・開発する中で、続報にご期待ください」と結んでいます。研究開発の段階です。

AIの運用条件と、今日からできること

Googleは自社のAI運用に付けた条件も書いています。「我々のAIはソースコードを厳密に静止状態でのみ解析し、一般的なインターネットアクセスを持たないロックダウンされたマシン上で動作する」「モデルを無制限モードで動かすことは決してない」

読者が実際に取れる対応も示されています。記事は、修正が安定版に届くまでの時間差に加えて、利用者が再起動しない待ち時間が既知の脆弱性を突かれるリスクの大きな要因だと述べています。右上に更新の案内が出たら再起動する、というのがそのまま対策になります。

macOSでは既に手が打たれています。「Chrome 150で、macOS特有のアプリケーション状態を活用する変更を展開した」とあり、全ウィンドウを閉じた状態で保留中の更新を検知すると自動的に再起動する挙動が入っています。

企業向けにはRelaunchNotificationポリシーの適用と、変更を慎重に検証したい環境向けのExtended Stable Channelが挙げられています。

なお公表の前日にあたる現地7月29日(日本時間7月30日)には、Chrome 151が公開されており、そのリリースノートには「このアップデートには370件のセキュリティ修正が含まれる」と記載されています。1072件はChrome 149と150だけを数えた数字で、151の370件は含まれていません。

所感:1072件より、あなたが再起動していない時間のほうが効く

数字としては1072件が目を引きます。ただ読者にとって効くのは、記事が指摘したもう一つのほうだと感じました。

修正が安定版に届くまでの時間差に加えて、利用者が再起動しない待ち時間が、既知の穴を突かれるリスクの大きな要因だと書かれていました。Googleが更新の頻度をどれだけ上げても、こちら側が再起動しなければ届きません。

右上に更新の案内が出ていたら、今日押しておく。それがこの記事のいちばん実用的な結論です。

③ChatGPT Voiceの音声にSynthIDの透かし、検証ツールも対応(8月1日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

3本目は、AIが作った音声を見分けるための話です。ChatGPTを音声で使っている方に直接関係します。

対象は「対応する音声」、新しいのは音声対応と検証API

OpenAIは日本時間8月1日の早朝(記事上の表示は現地7月31日)、既存の2つの記事に更新を追記する形でこれを公表しました。7月8日付の「Introducing GPT-Live」の冒頭に入った注記の逐語はこうです。

「更新 2026年7月31日:ChatGPT VoiceおよびOpenAI APIを通じてGPT-Liveで生成された対応する音声に、SynthIDのウォーターマークが含まれるようになりました。我々の公開検証ツールは対応する音声ファイル内のOpenAIの来歴シグナルを検出できるようになり、開発者や組織が自身のワークフローに来歴チェックを組み込めるよう、検証のためのAPIアクセスも導入しました」

ここで落としてはいけない語が「対応する(Supported)」です。すべての音声ではなく、対応済みの音声に限られます。どの音声が対応済みかの範囲は公表されていません。

もう1本、5月19日付の「Advancing content provenance」側の追記は、対象をより広く書いています。

「更新 2026年7月31日:我々はこの取り組みを画像の先へ広げる。ChatGPTやOpenAI APIを通じたものを含め、OpenAIのツールで生成された対応する音声に、SynthIDのウォーターマークが含まれるようになった」。GPT-Liveだけに限った書き方ではありません。

体裁の注意点もあります。7月31日付の専用の発表ページは存在しません。また検証ツール自体は5月19日から画像向けに公開済みで、今回新しいのは音声への対応拡大と検証APIの新設の2点です。

何が検出でき、何が検出できないのか

検証ツールのページには、対応形式が明記されています。「対応形式:PNG、JPG、WEBP、MP3、WAV、AAC、FLAC、OPUS、PCM」

形式より実務で効くのは長さの制限です。検証ツールのFAQは「音声は、最良の結果を得るには10〜60秒のクリップをアップロードすること」とし、APIドキュメントは「1ファイル50MiBまで」「音声はデコード後60秒以下でなければならない」としています。長時間の通話録音をそのまま投げて判定させることはできません

検出の仕組みも説明されています。「C2PAメタデータとSynthIDウォーターマークを含む、対応するシグナルを探し、それらが検出されたかどうかを報告する」

ただしこの2つは対象が同じではありません。公式のAPIドキュメントはC2PAの対象を「画像」、SynthIDの対象を「画像と音声」と書き分けています。音声で効くのはSynthIDだけです。

SynthIDの性質については、こう書かれています。「SynthIDは、生成されたメディアに直接シグナルを埋め込む、目に見えないウォーターマーク技術である。メタデータとは異なり、そのシグナルはコンテンツそのものの一部であり、切り抜き、フィルタの追加、非可逆圧縮といった改変に耐えるよう設計されている」

範囲の限定は明確です。「このツールは、ChatGPT、OpenAI API、またはCodexで生成されたコンテンツを検出するよう設計されている」他社のAIが作った音声は検出対象外です。

検証APIにも条件があります。公式ドキュメントは「アクセスを持たない組織には404が返る」とし、「悪用を防ぐため厳格なレート制限がある」と書いています。全開発者がそのまま使える状態ではありません。

音声を使っている人はどれくらいいるのか

規模の数字は、検証ツールのページではなく「Introducing GPT-Live」本文にあります。「毎週1億5000万人を超える人々が、音声やディクテーションといった機能を使ってChatGPTと話している」

同じ記事に、なりすまし対策の記載もあります。「GPT-Liveは会話のために設計されており、音声のなりすましのためではない。ChatGPTでは事前定義された一連の音声を使い、実在の人物の声を模倣することを防ぐセーフガードを備えている」

日本での提供と日本語対応については、公式に記載がありません。取得した3ページすべてで日本への言及はゼロでした。分かるのは、GPT-Live自体が「iOS、Android、ChatGPT.comを通じて世界中のChatGPT利用者に展開中」とされていることだけです。

言語については限定的な記述があります。「我々はGPT-LiveをChatGPTで最も利用の多い言語のいくつかに最適化した。特定の言語では、モデルがネイティブでない訛りや流暢さの欠落を示す場合がある」。日本語が最適化対象に含まれるかは書かれていません。

所感:検出されないことを、人間が作った証拠にはできない

この件は「AI音声が見分けられるようになった」と読むと外します。検出できるのはOpenAIのツールで作られたもので、しかも「対応する音声」に限られるからです。

詐欺に使われる音声の多くは他社製やオープンモデル製でしょうから、そこには届きません。1ファイル60秒という上限も、通話録音をまるごと判定する用途には向きません。

使う側として現実的なのは、「検出された=OpenAI製の可能性が高い」は使えても、「検出されない=人間が作った」とは言えない、という非対称を頭に入れておくことだと考えています。

④OpenAIがカンボジア拠点の詐欺ネットワークによる悪用を遮断したと公表(7月31日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

4本目は、詐欺の設計図が一次情報として公開された話です。

1組織が投資・ロマンス・賭博・なりすましを同時に回していた

OpenAIは日本時間7月31日9時、脅威インテリジェンスのケーススタディ「Disrupting a Criminal Scam Operation」を公開しました。なお原文は「今年前半(Earlier this year)に遮断した」と書いており、7月31日は遮断の実施日ではなく公表日です。

公式の要旨はこうです。「OpenAIは、投資・ロマンス・賭博・なりすましのスキームを支援するためにChatGPTを使っていた、カンボジアを拠点とする詐欺オペレーションを遮断した」

対象は1つの組織です。原文は「カンボジア発祥である可能性が非常に高く、バンテアイメンチェイ州ポイペト市またはその周辺で稼働していた可能性が高い、協調したChatGPTアカウントのネットワークを遮断した」としています。

手口の融合が具体的に書かれています。「運営者は出会い系のペルソナを使って信頼を築いたうえで、暗号資産や金のスポット取引を含む不正な投資機会を持ち出した」。賭博プラットフォームの担当者を装って偽のボーナスや当選金を提示する手口、法執行機関を装って「重罪を犯したので罰金を払え」と迫る手口も併記されています。

調査の端緒も明かされています。「WhatsAppの同業者からの情報提供を受けてこの活動の調査を開始し、その後、業界パートナーおよび関係当局と追加の脅威シグナルを共有した」

ChatGPTは詐欺の実行だけでなく事務まわりにも使われていた

用途の内訳が、この報告のいちばん生々しい部分です。

詐欺の実行側では、偽のオンラインペルソナの作成と運用、標的へ送るメッセージの生成と翻訳、詐欺スキームの宣伝コンテンツ作成が挙げられています。

生成された偽造文書の画像も列挙されています。「パスポート、法的通知、株式購入確認書、賭博プラットフォームの画面」

そして管理業務です。原文は「利用者の一部(a subset of users)」が管理業務にもChatGPTを使っていたとし、内訳として社内通達の起草、スタッフ間のメッセージ翻訳、そして採用・在留資格・労働条件・従業員の処分に「関係すると見られる」事項の文書化を挙げています。しかもOpenAIは「過去に遮断した詐欺ネットワークと同様に」と書いており、この用途は今回が初めてではありません。

OpenAIが過去のレポートから使っている三段階のフレームも再掲されています。the ping(接触)、the zing(感情の喚起)、the sting(金銭の詐取)です。

人身取引の兆候と、被害規模に付いた留保

報告にはもう一つの側面があります。

ポイペトでの「チャッター(chatter)」職、つまり詐欺のチャット要員の求人広告をSNS向けに作成した記録があり、航空券・宿泊・食事・ビザ・就労許可を約束する内容だったとされています。あわせて従業員の借金、給与天引き、懲罰的な罰金、ローン返済の記録管理や、在留資格・ビザ超過滞在に関する議論の翻訳も確認されました。

さらに監禁とみられるもの、脱走の試み、人身取引され詐欺に従事させられた人物の刑事責任の可能性に言及する会話も存在したとされています。ただしOpenAIは「これらの会話から特定の個人の事情を判断することはできない」とも書き添えています。

そのうえでOpenAIはこう明記しています。「詐欺を実行している人々自身が、搾取の被害者でありうる」

対応の中身も書いておきます。「このオペレーションに関連するChatGPTアカウントを遮断し、関連する指標を業界パートナーおよび関係当局と共有し、これらの行為者が我々の製品やサービスへのアクセスを再取得することをより困難にする措置を取った」

これは「摘発」ではありません。逮捕や立件が行われたという記述は原典になく、遮断したアカウント数も非公表です。被害規模も「このネットワークに関連する金銭的損失の全体規模は不明」とされ、原文が挙げるのは「複数の詐欺類型にまたがって数百の標的と接触した可能性がある」という推定にとどまります。被害者数ではなく、接触した標的の数である点に注意が必要です。

原文はさらに「利用者の会話には、個々の被害者が数千ドルを失ったという言及があったが、我々はその主張を独自に検証することはできない」としています。数千ドルは1ドル160円換算で数十万円規模ですが、OpenAI自身が裏を取れていない数字です。

所感:パスポートも株式確認書も、画像は信用の根拠にならない

読んでいて実務的に効くと感じたのは、パスポート・法的通知・株式購入確認書・賭博サイトの画面が画像として量産できるという部分でした。

「証拠を見せてくれたから信用した」という判断が、もう成り立ちません。スクリーンショットや書類の画像は、信用の根拠にならない。これはそのまま家族に伝えられる話です。

もう一つ、詐欺の実行者自身が借金と監禁で拘束された被害者でありうるという指摘は、この問題の見え方を変えます。相手を憎んで終わる話ではなくなります。

なお原典に日本や日本語への言及は一度もありません。それでも日本で報じられてきた手口と読み比べると、構造はよく似て見えます。

⑤AI作曲Sunoがドイツで敗訴、米国での学習も著作権侵害と認定(7月31日)

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5本目は、生成AIの学習が適法かをめぐる判決です。音楽生成を使っている方にも、AIを作る側にも関係します。

差止め・情報開示・損害賠償を「大筋で認容」、ただし判決は未確定

ミュンヘン地方裁判所Iの第42民事部は2026年7月31日、ドイツの音楽著作権管理団体GEMAがSunoを訴えた事件で判決を出しました。事件番号は42 O 763/25です。

裁判所自身のプレスリリースによれば、GEMAの差止め(Unterlassung)・情報開示(Auskunft)・損害賠償(Schadensersatz)の請求を「大筋で認容した」とされています。

ここは最も重要な限定です。プレスリリースの末尾には「Das Urteil ist nicht rechtskräftig.(本判決は未確定である)」と明記されています。Suno側も判決に同意せず、控訴を含む選択肢を検討中とコメントしたと報じられています。

一部の報道にある「全面勝訴」という表現も、原文は「überwiegend stattgegeben(大筋で/おおむね認容)」であって全部認容ではありません。「データ削除を命じた」という記述も、裁判所が挙げた認容請求3つの中にはありません。

対象となったのは6曲です。「Atemlos durch die Nacht」「Rasputin」「Big in Japan」「Forever Young」「Daddy Cool」の5曲と、「Mambo No. 5 A little bit of」についてはリフレイン部分です。なお「歌詞による侵害は本件の争点ではなかった」とされ、争われたのは楽曲のみです。

決め手は「学習したこと」ではなく「モデルに記憶されていたこと」

判断の中身が、この判決のいちばん重要な部分です。

GEMAの発表によれば、裁判所はSunoが米国でGEMAのレパートリー楽曲を学習に用いたことに加え、欧州でのその保存と再生についても「現行の米国著作権法およびドイツ著作権法に違反する」と認定しました。

認定の根拠として裁判所が挙げたのが「Memorisierung(記憶)」です。係争楽曲がSunoのモデル「バージョンv3.5とv4」に再現可能な形で含まれ、そのモデルがドイツ国内のサーバーに保存されていたと認定されています。学習データ内の楽曲と出力を照合して記憶を認定し、楽曲の複雑さと長さから偶然は排除できるとしました。

出力の責任の所在も明確です。GEMA側が出力を生成した際に入力したのは原曲の歌詞、希望する音楽スタイル、曲名だけで、「プロンプトにはメロディ、ハーモニー、リズム、編曲に関する指定は含まれていなかった」とされています。そのうえで、出力に責任を負うのは利用者ではなく被告だと判断しました。

法的な構成も書いておきます。モデル内の複製はドイツ著作権法16条の複製権侵害にあたり、テキスト・データマイニングの権利制限では正当化されないとされました。さらに裁判所は「モデルの提供とそれを用いた音楽生成それ自体が、ドイツ著作権法15条2項の無名の公衆再生権の侵害にあたる」とも述べています。

米国領域内の侵害については保護国法主義により米国法を適用したうえで、フェアユースでは免責されないと判断しています。データの収集手法も認定に含まれ、被告はYouTubeから楽曲を抽出・複製するためストリームリッピングの技術を用い、プラットフォームの技術的保護手段を回避したとされました。

GEMAにとって2件目、欧州の裁判所が米国での学習を判断したのは初

背景も押さえておきます。

GEMAの提訴は2025年1月21日です。「ライセンス取得を求めたが、SUNOは応じなかった」とされています。Sunoは学習に使った事実自体は事前に認めていた一方、報酬義務は一貫して争っており、第42民事部はこれを明確に退けました。

GEMAは「その際、欧州の裁判所が米国でのシステムの学習について判断したのは初めてである」としています。

GEMAにとってAI事業者に対する勝訴は2件目です。1件目は2025年11月のOpenAIに対する訴訟で、OpenAIはミュンヘン上級地方裁判所に控訴済みです。

GEMAのCEO、Dr. Tobias Holzmüller氏はこうコメントしています。

「人間の創造性は、あらゆる生成AIの基盤である。人間がいなければ、人工知能は何物でもない。裁判部は本日、明確にした。知的財産の窃取に基づくAIモデルは、法秩序によって保護されない、と。AI提供者はライセンスを取得しなければならず、当団体の会員の作品を無償で利用することは許されない。(中略)システムが欧州で運用されるなら、欧州の裁判所で提訴することもできる。これは権利行使にとって決定的である」

なお損害賠償の金額は一次情報に一切記載がありません。二次情報も「未確定」としています。

所感:未確定・金額非公表・日本への言及なしで、判断材料がない

Sunoを使っている人が今日この判決から何を判断できるか、と考えると、材料がほとんどありません。

判決は未確定で、損害賠償の金額も公表されていません。効力がドイツ国内の差止めに留まるのか、サービス全体に及ぶのかも書かれていない。日本での提供継続や料金への影響について、Suno側からの公式説明もまだ出ていません。

大きく報じられた割に、利用者が今日動くための情報は出ていない。それが正直なところです。控訴審、さらにEUの司法裁判所まで行く可能性を考えると、決着はしばらく先になりそうです。

⑥Gemini Drops 7月版が公開、Sparkの提供条件は3か所に分散(8月1日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

6本目は、Geminiアプリの月例まとめです。ただし読むときに注意が要る書かれ方をしています。

macOSの音声操作とアバター機能、外部アプリ連携

Googleは日本時間8月1日(現地表示7月31日)、Geminiアプリの月例アップデート「Gemini Drops」の7月版を公開しました。冒頭は「Gemini Dropsの7月版へようこそ」で始まります。

Drop本文は導入1文と6項目の箇条書きだけの短い記事で、見出しはありません。主な項目は次のとおりです。

  • macOS版の音声操作:項目名は「Speak to Gemini on macOS」。本文は「アクティブなウィンドウに話しかけて、作成・編集・要約する。きれいなテキストを口述したり、ハイライトした内容を変換したり、カーソルのある場所で直接ビジュアルを生成したりできる」
  • アバター機能:項目名は「Add yourself to any image.」。本文は「毎回自分の画像をアップロードする必要なく、アバターを追加して自分に似たコンテンツを作成できる」
  • 外部アプリ連携「アプリをまたいで機能するヘルプ:Dropbox、Zillow Rentals、Viator」
  • パーソナライズ画像生成「今、米国のすべての利用者が利用できる」

「全世界」ではない。条件が本文・脚注・別記事に分かれている

このDropで最も注意が要るのがGemini Sparkの記述です。

本文はこうです。「Gemini Sparkがグローバルに展開する」「ノートパソコンを閉じた後でも24時間365日、物事を片付けられる。今や世界中で利用可能」

ところが同じページの脚注1にはこうあります。「Gemini Sparkは欧州経済領域、英国、スイス、ナイジェリアでは利用できない」文字どおりの「全世界」ではありません

さらに、Drop本文には加入条件が書かれていません。前日7月31日5時(日本時間)に公開された別の公式記事には「本日より、160を超える追加の国でGoogle AI Proの加入者向けにアクセスを展開する」とあります。

Sparkはもともとほぼ最上位のGoogle AI Ultra向けに始まった機能で、この記事はそれをPro層に広げるという内容です。公式ヘルプは利用条件として「Google AI Pro または Google AI Ultra のサブスクリプションに登録していること」を挙げており、有料プラン(ProまたはUltra)の加入が前提です。

同記事にあるChromeとの自動ブラウズ機能についても「これらの機能は当初は米国で展開され、将来的に他の地域へ拡大する計画である」と限定されています。

日本での提供は別記事に日本語で書かれている

日本での提供について、Drop記事に日本への言及は一度もありません。日本語版の同記事も存在せず、404が返ります。

ただし日本での提供自体は、Googleが別記事で日本語で公表済みです。Google Japanの公式ブログは2026年7月29日付で「今後数週間以内に、日本の Google AI Pro のユーザーを対象に順次提供予定」とし、「日本語および英語の Google AI Ultra および Pro のユーザーにご利用いただける」と明記しています。日本は除外4地域にも含まれていません。

もう1点、Dropの読み方の注意です。Dropの箇条書きには「Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Lite」という項目があり、「我々の最新のFlashモデルが、より優れた推論とより速い速度とともに、今利用可能」と書かれています。

ただしこれはこのDropでの新発表ではありません。この2モデルは日本時間7月22日0時(現地表示7月21日)に公開された別の公式記事で発表済みで、Dropはその再掲です。

所感:本文・脚注・別記事に3分割された提供条件

このDropを読んでいて感じたのは、月例まとめという形式そのものの読みにくさでした。

「グローバルに展開」と本文に大きく書き、除外4地域は脚注に置き、加入条件は別の記事にしかない。3つの情報が3か所に分かれているので、Dropだけを読んだ人が「追加費用なしで世界中で使える」と受け取ってもおかしくありません。

日本の読者にとっていちばん知りたい「自分の環境で使えるか」の答えも、Dropではなく7月29日のGoogle Japan公式ブログのほうに書いてありました。英語のDropだけを追いかけると、自分の国の情報にたどり着けない。これも同じ分散の一例です。

⑦ChatGPTのBusiness・Educationでエラー(7月31日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

7本目は、ChatGPTの稼働状況の話です。単発の障害より、集計値のほうに意味があります。

更新は4本、対象を名指ししたのは第2報

OpenAIの公式ステータスページに、7月31日付でインシデントが記録されています。タイトルは「Enterprise & Education Chat Errors」です。

更新は全部で4本あります。第1報(日本時間18時4分13秒)は「対象サービスで利用者がエラーの増加を経験していることを特定した。緩和策の実装に取り組んでいる」という定型文で、プランの名指しはありません。

プランを名指ししたのは第2報(18時5分48秒)です。「一部のChatGPT BusinessおよびEducationの利用者が、会話の開始または継続時にエラーの増加を経験していることを特定した。緩和策の実装に取り組んでおり、より多くの情報が得られ次第、別の更新を提供する」

その後、18時6分54秒に「緩和済み」、18時28分52秒に「解決済み」と更新されました。緩和の告知は第1報から2分41秒後で、記録が閉じたのが約25分後です。エラーが25分続いたという意味ではありません

表現にも注意が要ります。公式の表記は「エラーの増加」であって全面停止ではなく、対象も「一部(some)」の利用者です。このインシデントの影響度は公式APIで「none」と分類され、稼働ステータスはどのコンポーネントも全区間で「operational」のままでした。

なおタイトルは「Enterprise & Education」ですが、本文が名指ししたのは「ChatGPT BusinessおよびEducation」です。ChatGPT BusinessとChatGPT Enterpriseは別のプランなので、Enterprise契約者が影響を受けたかは一次情報から確定できません。

7月のインシデントは36件、31日中23日に記録がある

単発の25分より意味があるのは、月次の集計です。

公式ステータスページの履歴を機械的に数えると、2026年7月のインシデントは36件。公式のフィードから独立に数えても36件で一致します。日付で見ると31日のうち23日に何らかの記録があります。記載のない日は1日から6日、8日、26日の8日間で、23と8を足して31日になります。

ただし読み方に注意が要ります。この日別の集計は「発生日」ではなく「最終更新(クローズ)日時のUTC」基準です。7月21日に発生して22日に解決したインシデントが27日の欄に載っている例があり、それはクローズの記録が27日だったためです。発生日で数え直すと、7月に発生したのは35件で、残る1件は6月29日に始まったものでした。

36件の内訳は一様ではありません。公式APIで影響度が取れる7月16日以降の25件は、none 2件・minor 18件・major 5件でした。深刻な障害が36回起きたわけではない一方、すべてが軽微だったわけでもありません

原因の公表についても正確に書きます。この25分間の事象についてポストモーテムはありませんが、7月全体では7月14日・19日・21日・23日・25日の各インシデントに、Summary・Impact・Root Cause・再発防止策まで含む詳細なポストモーテムが公式ステータスページに掲載されています。

なお公式ステータスページのコンポーネントは34件すべてが機能別で、日本を含む地域別のコンポーネントは1件もありません。日本の利用者が影響を受けたかどうかは、公式には確認できない構造になっています。

月別の推移も同じ手法で数えると、5月28件、6月30件、7月36件です。ただし公式フィードは5月4日以降しか遡れないため、増加傾向だと断定はできません。現在の状態は、日本時間8月1日8時40分時点で「All Systems Operational」、未解決のインシデントはゼロです。

所感:単発の25分より、36件が23日に散っている事実

7月31日の記録について、いま取るべき対処はありません。すでに解決済みで、対象も一部でした。

書く価値があると感じたのは、36件が23日に散らばっているという集計のほうです。月の3分の2以上の日に何らかの記載がある計算になります。

繰り返しますが、全面停止が23日あったわけではありません。それでも「業務で使うなら、たまに何かある」という前提で組むのが現実的だという材料にはなります。締切直前にChatGPT頼みの工程を置かない。リトライを設計に入れる。地域別の稼働状況が公開されていない以上、自分の環境で起きたことは自分で記録しておくしかありません。

⑧ByteDanceがSeedance 2.5発表、1回30秒・参考50点(7月31日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

8本目は、動画生成モデルの更新です。日本から触れる可能性が高いのに、公式発表は日本について何も言っていません。

単回30秒へ倍増、2回の延長に対応

ByteDance Seedは日本時間7月31日、動画生成モデル「Seedance 2.5」を正式発表しました(公式ブログの表示は現地7月31日で、時刻の公表はありません)。

公式ブログの冒頭は「本日、我々は新世代の動画創作モデル Seedance 2.5 を正式に発表する」です。

生成の長さが分かりやすい変化です。「Seedance 2.5は単回の動画生成長を15秒から30秒に引き上げた」とされ、モデル紹介ページは「単一動画の長さを30秒に引き上げ、2回の動画延長に対応」としています。なおブログ本文は「複数回の延長に対応」とやや広く書いており、表現に差があります。

参考素材の上限も大きく増えました。「Seedance 2.5はユーザーが1回に最大30枚の画像、10本の動画、10本の音声を参考素材として入力することに対応する」合計で最大50点です。

編集機能も加わっています。「Seedance 2.5はタイムスタンプによる音声・映像コンテンツの精密な編集に対応する」とされ、グリーンバック編集、視点・カメラワーク編集、参考編集の強化も挙げられています。

提供は中国向けが先行、APIは「近日」

提供チャネルは分かれています。公式の記述はこうです。「本日、Seedance 2.5は即梦AI、豆包専業版などのプラットフォームに順次提供を開始しており、APIサービスも近日中に火山方舟で提供開始予定」。英語版はAPIの提供先を「BytePlus ModelArkにて近日」としています。

つまり発表時点でAPIは未提供です。実際にBytePlus ModelArkと火山方舟のドキュメントを確認しても、Seedance 2.5の記載は見つかりませんでした。

日本からの利用可否について、公式発表に記載はありません。ただし検証の過程で、日本のIPアドレスに対して国際版Dreaminaのモデル一覧に「Dreamina Seedance 2.5」が新着タグ付きで表示されることが確認できています。説明文は「より写実的で、より長い動画、精密な編集。最大50点の参考素材」でした。

製品側の設定も確認できています。解像度の選択肢は480pと720pの2種類のみ、フレームレートは24固定、フレーム数は96から720(24fps換算で4秒から30秒)、アスペクト比は6種類、プロンプトの最大長は5000文字です。

ただしこれは現時点の製品側の提供条件であって、モデルの上限性能ではありません。公式発表に解像度の記載は一切なく、価格も公表されていません。

日本語対応については、書き分けが必要です。モデルの正式発表(公式ブログ・モデル紹介ページ)に対応言語の記載はありません。一方、Dreaminaの公式製品ページは対応言語として日本語を含む11言語を明記しています。ただし同ページは「4K出力」も謳っており、実際の生成画面の解像度選択肢は480pと720pだけです。製品ページの記述は販促文であり、モデル仕様の裏付けにはなりません

所感:30秒と50点は、作る手順そのものを変える数字

数字を実務に置き換えると、変化がはっきりします。

15秒から30秒は単なる倍増ではありません。ショート動画の多くは15秒では足りず、これまでは複数回生成してつなぐ必要がありました。2回の延長に対応すると公式が明記しているので、継ぎはぎ前提の手順が「一度に撮る」寄りに動きます。

参考素材50点も効きます。キャラクターを固定したい、複数の人物を同じ画面に出したい、という要求は従来いちばん難しかったところで、入力できる参考の数がそのまま自由度になります。

一方で、業務に組み込むには材料が足りません。APIは未提供、価格は非公表、解像度は現時点で720pまでです。

⑨Windows 11のタスクバー移動がBetaへ、Copilotは未対応(8月1日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

9本目は、Windowsを使っている方への話です。ただし一般提供ではない点が重要です。

Betaチャネルのビルド26220.9022に到達

Windows Insider Blogは日本時間8月1日2時1分(現地表示7月31日)、新ビルドを告知しました。

タスクバーの項目には「リリースチャネル:Experimental、Betaに新規」と記されています。つまりExperimentalチャネルでは提供済みで、今回Betaチャネルに到達したという位置づけです。

機能の内容はこうです。「画面上のタスクバーの位置を変更できるようになりました」。設定場所は「設定 > 個人用設定 > タスクバー > タスクバーの動作」で、選べる位置は「下、上、左、右」です。

同時に小型タスクバーもBetaに到達しました。「タスクバーのサイズ」を「小」にすると、アイコンとタスクバーの高さが小さくなります。

なおこの機能は、Windows 11で一度失われていたものです。初出は日本時間2026年5月16日(現地表示5月15日)に公開されたWindows Insider Blogで、当時はExperimentalチャネル向けでした。同記事は「画面の上や左右にタスクバーを動かせることは、最も要望の多かった機能の一つ」としています。

Ask Copilotは「進行中」で未対応、一般提供の予定も未公表

ここは事前情報と食い違うので、正確に書きます。

Microsoft Learnのリリースノートには、こう明記されています。「タッチジェスチャ、検索ボックス、および代替位置でのAsk Copilotのサポートは進行中です」つまりAsk Copilotの位置対応は、現時点では未対応です

ほかにも制限があります。「自動的に隠されるタスクバーとタッチ最適化されたタスクバーは、現在サポートされていません」「小型タスクバーは現在、上下の位置でのみサポートされています」

そして最も重要な限定です。このビルドはWindows Insider Program向けのプレビューで、一般提供ではありません。リリースノートの共通の注意書きには「これらのビルドに含まれる機能や体験は、リリースされない可能性があります」と書かれています。デスクトップ右下に透かしが出るのも正常とされています。

本機能の一般提供の時期は公表されていません。Betaチャネル一般の説明に「今後数週間のうちに出荷を予定しているもの」とあるだけです。

試したい方は、Windows Insider ProgramのBetaまたはExperimentalチャネルに参加する必要があります。現行のチャネルはExperimental・Beta・Release Previewの3つですが、Microsoftは「端末が新プログラムの変更で更新されるまでは古いチャネル名が表示される場合がある」と注記しています。

日本での提供条件については、国や地域による制限の記載はありません。ただし共通の注意書きに「Windows Insidersでプレビューする開発中の機能の一部は、完全にローカライズされていない場合があります」とあります。

所感:約4年10か月ぶりに戻った変更が、まだ未対応を抱えている

本文で触れたとおり、Windows 11(一般提供の開始は2021年10月4日)で消えてから、Insider向けに戻るまで約4年10か月かかっています。

そのうえで冷静に見ておきたいのは、戻ってきた機能がまだ完全ではないことです。Ask Copilot、タッチジェスチャ、検索ボックスの代替位置対応はいずれも進行中で、小型タスクバーに至っては上下でしか使えません。

Insider向けの段階なので順当でもありますが、手元のWindows 11で設定を探しても出てきません。業務用のPCで試す話ではありません。

⑩Snapchatが完全AI生成動画をSpotlightのおすすめ対象外に(8月1日)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

10本目は、AIで作った動画の扱いをプラットフォーム側が決めた話です。禁止ではない点が肝心です。

「丸ごとAI生成」だけが対象、投稿禁止ではない

Snap Inc.は日本時間8月1日未明(現地表示7月31日)、公式ニュースルームに記事「Rewarding Authentic Creativity on Spotlight」を掲載しました。

核心の一文はこうです。「丸ごとAI生成された動画は、Spotlightでのおすすめ対象として適格ではなくなる」

対象は「wholly(丸ごと)」AI生成に限られます。公式が引き続きおすすめ対象だと明記しているのはSnapchatのAIクリエイティブツールで加工・編集したコンテンツで、こちらには透明性を示すインジケーターが付きます。外部のAIツールを部分的に使った動画をどう扱うかは、今回の発表には書かれていません

措置の性質も限定的です。おすすめ(recommendation)対象からの除外であって、投稿禁止・アカウント停止・削除といった記述は公式発表にありません

開始時期の表記は「今月から、そして今後も」です。具体的な適用開始日、段階的な展開の有無、対象国の記載はありません。判定方法も非公表で、検出システムの存在に触れつつ「完璧な検出システムはない」という趣旨の記述があるだけです。

ポリシー側にも裏付けがあります。Snapのレコメンド適格性ガイドラインに「AI-generated content」の項目があり、Snapchatの外部で作られた丸ごとAI生成のコンテンツより人間が制作したコンテンツをランキングで優遇する、透明性の開示があっても同様、と英語で明記されています。

前段の発表が4月にあり、投稿者数は前年比120%超増

今回が突然の方針転換ではないことも書いておきます。

現地表示2026年4月2日付のニュースルーム記事で、Spotlightにおける合成AI動画や広く配信された投稿の表示を減らす方針が既に予告されていました。今回はその延長です。

Spotlightの規模については、「グローバルのユニーク投稿者が前年比120%超増」という数字が挙げられています。ただし脚注は「Snap Inc. 内部データ、2025年7月1日〜2026年7月20日」で、自社データであり第三者の検証はありません。

クリエイターの収益への影響については、今回の発表に言及がありません。別ページの収益化ポリシーに一般則としておすすめ非対象のコンテンツを主に投稿する人は収益化の適任者になりにくい旨がありますが、今回の変更に伴う支払いの変更を述べたものではありません。

日本については、公式発表・公式ポリシーとも記載がありません。記事URLに日本語の指定を付けても本文は英語のままで、レコメンド適格性ポリシーの日本語版には英語版にある「AI生成コンテンツ」の項目が見当たらず、日本語ポリシーは本件で未更新の状態でした。

なお報道で使われる「AIスロップ対策」という表現は、Snap公式の言葉ではありません。公式は「低品質で反復的なAI生成コンテンツ」という表現を使っています。

所感:おすすめから外す措置は、禁止より静かに効く

この発表を「SnapchatがAI動画を禁止」と読むと外します。投稿はできます。おすすめ枠に乗らないだけです。

ただ実際の影響という意味では、おすすめから外れるほうが重い場合があります。Spotlightのようなレコメンド主導の場では、おすすめに乗らないコンテンツは事実上ほとんど見られません。禁止よりも静かで、しかも効きます。

判定方法が非公表で、公式自身が「完璧な検出システムはない」と認めている点は気になります。誤判定されたときの救済が今回の発表に書かれていないことも含め、作る側としては、そこが次の論点になりそうです。

10本を貫く流れ:SynthIDと約30時間の撤回が示す、AI製の見分け方

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

今回の10本を並べて見えてくるのは、AIが作ったものを扱う側が、この2日でそれぞれのやり方で「見分ける」「示す」「引っ込める」に着手したことです。

示す側に回ったのが③です。OpenAIはChatGPT Voiceの音声にSynthIDの透かしを入れ、検証ツールを音声に対応させました。切り抜きや圧縮に耐える設計だと明記されています。

おすすめから外す側に回ったのが⑩です。Snapchatは丸ごとAI生成の動画をSpotlightのおすすめ対象から外しました。禁止ではなく、推薦しないという静かな措置です。

引っ込める側に回ったのが①です。Googleは同じSynthIDの透かしを入れ、他人の画面には出ない設計にもしていました。それでも、スクリーンショットが外に出ている事実を前に、公開から約30時間で機能を巻き戻しました。

この3つを並べると、対策の効き方が見えてきます。透かしはスクリーンショットでも消えないが、受け取った側が確認しなければ意味がないおすすめから外す措置は静かに効くが、判定方法も誤判定の救済も公表されていない引っ込めるのは確実だが、機能そのものを失い、再開時期も示されない。どれも完全ではありません。

そして⑤は、この問題を事後の対策ではなく入口で問いました。ドイツの裁判所は、モデルの中に楽曲が再現可能な形で残っていたことを認定し、学習に対価を求めました。出力を見分ける話ではなく、取り込む時点の話です。

一方で②と④は、AIそのものの使われ方が両極に振れた例です。13年以上見つからなかった欠陥を見つけたのもAIなら、詐欺組織の事務を助けていたのもAIでした。Googleが自社のAIを「一般的なインターネットアクセスを持たないロックダウンされたマシンで、無制限モードでは決して動かさない」と条件付きで運用していると明記したのは、この両極を意識してのことだと読めます。

⑥⑦⑧⑨は、その手前にある地味な現実です。月例まとめでは提供条件が3か所に分散し、稼働記録は31日中23日に何かがあり、新モデルのAPIはまだ出ておらず、戻ってきた機能はまだ未対応を抱えている。派手な発表の裏側で、使う側が確認しなければならないことは増え続けています。

まとめ:Chromeの1072件からSunoの敗訴まで、8月1日の要点

最後に、この記事の要点を整理します。

  • Googleが公式ブログに撤回の追記を入れたのが日本時間8月1日3時29分(声明自体は同日未明にX上で先に公表)。元記事の公開は7月30日21時30分で、約30時間後の巻き戻し。ただし機能が実際に停止した時刻や地域別の停止範囲についてGoogleの公表はない。理由は「ポリシーに違反すると見られる生成画像のスクリーンショットを人々が共有しているのも目にした」ため
  • 撤回文は同時に「生成された画像はGoogle Earthのメインの体験に他の人が見られる形では表示されず、AI生成としてウォーターマークが付いていた」とも記載。この透かしはSynthIDで、Googleは公式声明で「Google EarthのNano Bananaで作られた画像はすべてSynthIDのデジタル透かしを含む」としている。再開時期は未公表で、元記事に価格・日本語対応の記載はなかった
  • 撤回のきっかけは報道で説明が分かれる。Engadgetは404 Mediaの検証、NPRはオープンソース調査者Henk van Ess氏の指摘を挙げ、TechCrunchは404 Mediaに触れていない。いずれもGoogleの公式説明ではない
  • Googleが日本時間7月31日(現地表示7月30日)、Chrome 149と150で1072件のセキュリティバグを修正し、それ以前23マイルストーンの合計を上回ったと公表。2026年初めに構築したGeminiのエージェントハーネスが、13年以上潜んでいたサンドボックス脱出の欠陥を発見
  • ただし1072件を修正した主体はChromeチームで、AIが全件を発見したわけではない。「週2回のセキュリティリリース」は決定ではなく試験導入で、メジャー更新の2週間ごと・セキュリティ更新の週1回とは別物。1072件はChrome 149と150のみの数字で、前日の151の370件は含まない
  • OpenAIが日本時間8月1日(現地表示7月31日)、ChatGPT VoiceとOpenAI API経由でGPT-Liveが生成した「対応する音声」にSynthIDの透かしを付与すると公表。公開検証ツールが音声に対応し、検証APIも新設。ただし検証ツール自体は5月19日から画像向けに公開済みで、専用の発表ページはなく既存記事への追記
  • 検出対象はChatGPT・OpenAI API・Codexで生成されたものに限られ、他社のAI音声は対象外。音声で効くのはSynthIDのみ(C2PAの対象は画像)。音声は1ファイル60秒以下という制限があり、検証APIはアクセスのない組織には404が返る。日本語対応・日本での提供条件は公表なし
  • OpenAIが日本時間7月31日、カンボジア拠点の詐欺ネットワークによるChatGPT悪用を遮断したと公表。ただし原文は「今年前半に遮断した」としており、7月31日は公表日。投資・ロマンス・賭博・法執行機関なりすましを1組織が同時に運用し、パスポートや株式購入確認書の偽造画像も生成
  • 利用者の一部は、社内通達の起草や採用・労働条件に「関係すると見られる」文書の作成にもChatGPTを使っており、OpenAIは「過去に遮断した詐欺ネットワークと同様に」としている。人身取引の兆候も記載され、「詐欺を実行している人々自身が搾取の被害者でありうる」と明記
  • ただし逮捕・立件の記述はなく、遮断アカウント数は非公表。金銭的損失の全体規模は「不明」とされ、複数の詐欺類型にまたがって数百の標的と接触した可能性がある、との推定にとどまる。日本や日本語への言及はゼロ
  • ミュンヘン地方裁判所Iの第42民事部が7月31日、GEMA対Sunoの訴訟で差止め・情報開示・損害賠償を大筋で認容。米国での学習時の複製と、ドイツ国内のモデル内複製・出力での再生の両方を認容根拠に挙げ、テキスト・データマイニングの権利制限では正当化されないとした
  • 決め手は「Memorisierung(記憶)」で、楽曲がモデルv3.5とv4に再現可能な形で含まれていたこと。プロンプトは歌詞・スタイル・曲名のみでメロディ等の指定はなく、出力の責任は利用者ではなく提供者にあると判断。対象は6曲で「Mambo No. 5」はリフレイン部分のみ。ただし判決は未確定で、損害賠償額も非公表
  • Googleが「Gemini Drops」7月版を公開(日本時間8月1日/現地表示7月31日)。macOS版の音声操作、アバター機能、外部アプリ連携(Dropbox・Zillow Rentals・Viator)を掲載。Gemini Sparkは本文で「グローバルに展開」とされる一方、脚注で欧州経済領域・英国・スイス・ナイジェリアの除外が明記され、加入条件(Google AI ProまたはUltra)は別記事と公式ヘルプにしかない
  • 日本はDrop本文に言及がないが除外4地域には含まれず、Google Japanは7月29日付で「今後数週間以内に」日本のGoogle AI Proユーザーへ順次提供と公表済み(日本語・英語に対応)。同Dropに載るGemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Liteは7月22日(現地表示7月21日)発表済みの再掲
  • ChatGPTのBusinessとEducationの一部利用者で、日本時間7月31日18時4分から会話の開始・継続時にエラーが増加。2分41秒後に緩和、約25分後に解決。影響度は「none」で稼働ステータスは全区間operational
  • 7月のインシデントは36件で31日中23日に記録があるが、集計は発生日ではなくクローズ日時のUTC基準。影響度が取れる7月16日以降の25件はnone 2件・minor 18件・major 5件。この25分の事象にポストモーテムはないが、7月は5件のインシデントに詳細なポストモーテムが公開されている
  • ByteDance Seedが7月31日、動画生成モデル「Seedance 2.5」を発表。単回生成が15秒から30秒に倍増し2回の延長に対応、参考素材は画像30枚・動画10本・音声10本の計最大50点。提供は即梦AIと豆包専業版が先行し、APIは「近日」で未提供。価格は公表なし
  • 対応言語はモデルの正式発表に記載がないが、Dreaminaの公式製品ページは日本語を含む11言語対応と記載。ただし同ページは「4K出力」も謳う一方で実際の生成画面は480pと720pのみで、販促文であってモデル仕様の裏付けにはならない
  • Windows 11のタスクバー上下左右移動がBetaチャネルのビルド26220.9022に到達(日本時間8月1日2時1分/現地表示7月31日)。Experimentalでは日本時間5月16日(現地表示15日)の告知分から先行提供。Windows 11で消えてから約4年10か月ぶりの復活にあたる
  • ただしAsk Copilot・タッチジェスチャ・検索ボックスの代替位置対応は「進行中」で未対応、自動的に隠すタスクバーも非対応、小型タスクバーは上下位置のみ。Insider Preview であり一般提供ではなく、時期も未公表
  • Snapchatが「丸ごとAI生成された動画」をSpotlightのおすすめ対象から除外(日本時間8月1日未明/現地表示7月31日)。投稿禁止や削除ではなく、SnapchatのAIツールで加工したものは対象外。外部AIを部分的に使った動画の扱いは今回の発表に記載なし
  • 判定方法・適用開始日・対象国は非公表で、誤判定時の救済も今回の発表には書かれていない。日本語ポリシーは本件で未更新。「AIスロップ」はSnap公式の表現ではない

AIが作ったものを、出す側が見分けにかかった2日でした。あなたが今日見た画像や音声は、誰が作ったものだったでしょうか。

よくある質問(FAQ)

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

Q1. Google Earthの画像生成は、もう使えないのですか?

A. 日本時間8月1日3時29分の時点で、Googleは撤回(rolling back)を公表しています。撤回文は「より強力なガードレールの実装に取り組む間、Google Earthのこの機能を巻き戻す」としており、再開の時期は公表されていません。ただし「恒久的に廃止する」とも書かれておらず、一時的な巻き戻しの含意で書かれています。機能が実際に停止した時刻や地域別の停止範囲についてもGoogleの公表はないため、日本でいつから使えなくなったかは公式には分かりません。なおこの機能はもともとウェブ版のGoogle Earth利用者向けと明記されており、元記事に価格・日本語対応の記載はありませんでした。撤回のきっかけとしてEngadgetは404 Mediaの検証記事を、NPRはオープンソース調査者Henk van Ess氏の指摘を挙げていますが、いずれもGoogleの公式説明ではありません。

Q2. ChatGPTの音声に透かしが入ったら、AI音声の詐欺は見分けられますか?

A. その用途には期待しないほうが安全です。理由は3つあります。第一に、検出できる範囲が限定されています。検証ツールのページは「このツールは、ChatGPT、OpenAI API、またはCodexで生成されたコンテンツを検出するよう設計されている」と明記しており、他社のAIやオープンモデルで作られた音声は対象外です。第二に、対象が「対応する音声(Supported audio)」に限られ、どの音声が対応済みかの範囲は公表されていません。第三に、音声は1ファイル60秒以下という制限があり、長時間の通話録音をそのまま判定させることはできません。したがって「検出された=OpenAI製の可能性が高い」は使えますが、「検出されない=人間が作った」とは言えません。なおSynthID自体は「切り抜き、フィルタの追加、非可逆圧縮といった改変に耐えるよう設計されている」とされており、メタデータのように簡単には剥がせない仕組みではあります。

Q3. Sunoの判決で、AIで作った音楽は使えなくなるのですか?

A. 現時点でそう判断するのは早すぎます。この判決は未確定です。ミュンヘン地方裁判所Iのプレスリリースは末尾に「本判決は未確定である」と明記しており、Suno側も判決に同意せず控訴を含む選択肢を検討中とコメントしたと報じられています。控訴審、さらにEUの司法裁判所まで持ち越される可能性があります。また判決の内容も「AIによる作曲全般が違法」というものではなく、GEMAが管理する特定の6曲について、それらがモデルの中に再現可能な形で残り、単純なプロンプトで復元できたことを問題としたものです。ただし射程は出力だけではなく、裁判所は「モデルと音楽生成アプリを提供していること自体が、ドイツ著作権法15条2項の無名の公衆再生権の侵害にあたる」とも述べています。損害賠償の金額は一次情報に記載がなく、判決の効力が及ぶ範囲も明示されていません。日本での提供継続や料金への影響についても、公式には何も示されていません

筆者より

今回いちばん考えさせられたのは、①でGoogleが打っていた対策が、どれも間違っていなかったことでした。生成画像は他人のGoogle Earthには表示されない設計で、③と同じSynthIDの透かしも入っていました。透かしはスクリーンショットを撮っても消えません。それでも撤回に至りました。

理由は、確認する人がいないからです。404 MediaのJoseph Cox氏の批判はそこを突いていました。技術としては識別できても、拡散した画像を受け取った人がGeminiアプリを開いて確かめることは、まずありません。

この2日で、OpenAIは音声に透かしを入れ、Snapchatはおすすめから外し、ドイツの裁判所は学習の入口に対価を求めました。出口で見分ける、流通を絞る、入口で止める。狙う場所は違いますが、どれも「AIが作ったものをどう扱うか」という同じ問いに対する答えです。

そして、どれも完全ではありませんでした。透かしは確認されなければ意味がなく、おすすめの判定方法は公表されておらず、判決はまだ確定していません。完全な答えを待つより、それぞれがどこまで効いてどこから効かないのかを知っておくほうが、当面は役に立つのだと思います。

事実関係の誤りや新しい情報にお気づきの点があれば、コメント欄で教えてください。

参考資料

  • Google公式ブログ(Google EarthへのNano Banana 2搭載および7月31日付の撤回に関する更新/Bryan Horowitz/現地表示2026年7月30日)/Google公式のX声明(@NewsFromGoogle)
  • Google公式ブログ「Chrome: stronger with every update」(Chromeセキュリティチーム/現地表示2026年7月30日)/Chrome Releases「Stable Channel Update for Desktop」(現地表示2026年7月29日・Chrome 151)
  • OpenAI公式「Introducing GPT-Live」(2026年7月8日/2026年7月31日付の更新注記)/同「Advancing content provenance」(2026年5月19日/2026年7月31日付の更新注記)/OpenAI公式の検証ツールページおよびAPIドキュメント
  • OpenAI公式「Disrupting a Criminal Scam Operation」(現地表示2026年7月31日)/同社ニュースRSS
  • ミュンヘン地方裁判所I 公式プレスリリース16号「Urteil GEMA gegen SUNO」(2026年7月31日/事件番号42 O 763/25)/GEMA公式プレスリリース(2026年7月31日)
  • Google公式ブログ「Gemini Drops: New updates to the Gemini app, July 2026」(現地表示2026年7月31日)/同「Gemini Spark now integrates with Chrome」(現地表示2026年7月30日)/同「Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber」(現地表示2026年7月21日)/Google Japan公式ブログ(Gemini Sparkの日本提供/2026年7月29日)/Gemini Spark 公式ヘルプ(日本語版)
  • OpenAI公式ステータスページおよびインシデント履歴・公式ステータスAPI(2026年7月分の集計)
  • ByteDance Seed 公式ブログ「Seedance 2.5」および同モデル紹介ページ(中国語版・英語版)/Dreamina 公式製品ページおよびモデル一覧
  • Windows Insider Blog「Announcing new builds for 31 July 2026」(Stephen Lines/現地表示2026年7月31日)/同「Improving Windows quality: Making Taskbar and Start more personal」(Diego Baca/現地表示2026年5月15日)/Microsoft Learn ビルド26220.9022 リリースノート/Microsoft Learn Windows Insider チャネル説明
  • Snap Inc. 公式ニュースルーム「Rewarding Authentic Creativity on Spotlight」(現地表示2026年7月31日)/同社レコメンド適格性ガイドライン・クリエイター収益化ポリシー・サポート記事
  • 撤回の経緯に関する報道としてEngadget・TechCrunch・NPR(いずれも現地表示2026年7月31日)、Google Earthの日本での提供に関する報道としてケータイWatch(2026年7月31日)

※本記事は執筆時点(2026年8月1日)の情報です。円換算は1ドル160円で計算した概算です。見出しの日付は日本時間で表記し、現地表示日と異なる場合は本文に併記しています。本文中の過去の日付は各社の現地表示日を使っています。
※⑤のミュンヘン地方裁判所の判決は未確定です。Suno側は判決に同意せず、控訴を含む選択肢を検討中とコメントしたと報じられています。損害賠償の金額および判決の効力が及ぶ範囲は公表されていません。
※②の「週2回のセキュリティリリース」は試験導入中であり決定事項ではありません。⑨のWindows 11のタスクバー位置変更はWindows Insider Program向けのプレビューで、一般提供ではありません。いずれも提供時期は公表されていません。最新情報は各社・各機関の公式発表をご確認ください。
※本記事について、事実関係の誤りや最新情報の追加などお気づきの点がございましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。

AIニュース10選【8/1】Google Earthが30時間で撤回、Suno敗訴ほか

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